需給動向 海外

◆豪 州◆

5月牛肉輸出量は10万トン超で過去最高を更新


◇絵でみる需給動向◇


 豪州農漁林業省(DAFF)によると、5月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)は10万3207トン(前年同月比18.8%増)となり、これまでの単月での記録(2006年11月の9万4693トン)を更新した(表1)。
表1 国・地域別牛肉輸出量
資料:DAFF
注 1:船積重量ベース
注 2:CISはロシア他
 肉牛の主産地であるクイーンズランド(QLD)州を中心に、干ばつによる早期出荷からと畜頭数が増加し、東部州における4月の1週当たり平均と畜頭数(子牛は含まない)は13万7535頭(同17.9%増)、5月は15万7093頭(同18.4%増)と高水準にある(図1)。一方、豪ドルの為替相場は、5月上旬から1豪ドル=1米ドルを割り込む水準となり、豪ドル高は一服した(図2)。と畜頭数の増加による牛肉の増産および肉牛価格の低下と、豪ドル高の緩和とが相まって、輸出量の増加につながっている。

 ただし、5月には広範囲でまとまった降雨があり、肉牛の出荷が一部で停滞したことから、牛肉輸出増加の一因となった肉牛価格は、同月半ばより再び上昇傾向に転じている。東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、6月6日時点では1キログラム当たり304.75豪セント(305円:1豪ドル=100円)と、約1カ月ぶりに300豪セントを超えた(図3)。

図1 と畜頭数の推移
資料:MLA
  注: QLD州、ニューサウスウェールズ(NSW)州、
     ビクトリア(Vic)州、南オーストラリア(SA)州、タスマニア(Tas)州の
     5州の成牛のと畜頭数の合計
図2 豪ドル為替相場の推移
資料:豪州準備銀行(RBA)
図3 EYCI価格の推移
資料:MLA
注 1:年度は7月〜翌6月
注 2:EYCI価格は東部3州(QLD州、NSW州、Vic州)の主要家畜市場に
    おける若齢牛の加重平均取引価格(枝肉重量ベース)。家畜市場の
    指標価格となっており、肥育牛や経産牛の家畜市場価格などとも9割
    近い相関関係にある。

日本向けは前年並みまで回復、中国、中東向けは高水準で推移

 5月の日本向け輸出量は、3万374トン(前年同月比0.7%減)となった。2012年8月以降、豪ドル高で推移した為替相場や、中国向けなどとの競合による輸出価格の上昇などから、ほぼ前年割れで推移してきたが、5月は豪ドルの下落が後押しし、前年並みの水準まで回復した(図4)。

 他の輸出先として目立つのは、中国向けの1万1486トン(同16.2倍)および中東向け6,186トン(同2.7倍)である。中国向けは、夏の需要期の前に、ブリスケット(2,342トン)、ブレード(1,134トン)など日本向けとの競合部位のほか、シン・シャンク(2,108トン)などへの引き合いが強まっている。中東域内で輸出量が増加したのは、2012年終盤にブラジル産の輸入を禁止したサウジアラビア向け(3,733トン、同5.5倍)となっている。
図4 日本向け輸出量の推移
資料:DAFF
  注:船積重量ベース

2013年の内臓肉の輸出も好調な滑り出し

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、牛肉の増産や肉牛価格の下落に伴い、2013年の内臓肉の輸出も好調な滑り出しとなった。2013年第1四半期(1〜3月)における輸出量は2万9601トン(前年同期比4%増)となり、過去5年平均を10ポイント上回っている。

 同期の輸出量を国別にみると、今期、最大の市場となった香港向けが5,249トン(同22%増)、次いで、日本向けが5,109トン(同5%増)、韓国向けが4,959トン(同6%減)であった(図5)。

 部位別では、トライプ(ミノ・ハチノス)が最も多く6,845トン(同1%増)、次いで、肝臓の5,661トン(同4%増)となった。日本向けが多いのは横隔膜(ハラミ・サガリ)とタンであり、横隔膜は2,959トン(同10%増)、うち日本向けが1,692トン(同41%増)、タンは1,772トン(同5%減)、うち日本向けが1,743トン(同2%減)となった。

 MLAは、タンの輸出減少の要因として、日本における米国産の輸入月齢制限の緩和を挙げており、この動向は、今後も豪州産内臓肉の輸出に影響を及ぼすとみている。

図5 内臓肉の国別輸出量の推移(第1四半期)
資料:MLA

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