需給動向 海外

◆ブラジル◆

第1四半期の鶏肉輸出量は前年同期を下回る


◇絵でみる需給動向◇


 2013年第1四半期(1〜3月)の鶏肉輸出量は、前年同期比7.5パーセント減の82万トンとなった。主要輸出先であるサウジアラビアや日本向けが増加する一方、香港やアラブ首長国連邦、中国向けなどがかなりの程度減少となった。ただし、輸出額は同3.7パーセント増の16億9700万ドル(1730億9400万円:1米ドル=102円)であった(表7)。国内の鶏肉価格の上昇に伴い、2013年1月から3月にかけてブラジル産鶏肉の平均輸出単価は上昇しており、2013年3月は1トン当たり2,168ドル(21万円)と過去最高値を更新した。

 世界経済の低迷から、カット肉に比べ安価な丸どりの需要が高まっており、2013年第1四半期の平均輸出単価は、カット肉が前年同期比8.8パーセント高であるのに対して、丸どりは同18.5パーセント高とカット肉の上昇率を大幅に上回っている(表8)。

表7 ブラジル産鶏肉の国別輸出(第1四半期)
資料:開発商工省貿易局(SECEX)
表8 丸どりとカット肉の輸出動向
資料:開発商工省貿易局(SECEX)

国内では生産コストおよび生産者価格が下落

 ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)によると、2013年1月に入りブロイラー生産コストが低下している。3月の生産コストは生体10キログラム当たり19.3レアル(924円:1レアル=47.9円)となり、前年同月比では4.9パーセント高であるが、2012年で最も高かった8月の同23.8レアル(1,140円)と比べると、18.9パーセント安となっている。これは、2012年に高騰した飼料穀物価格がいまだ例年より高い水準にあるとはいえ、落ち着きを見せてきたためである。
図10 ブロイラー生産コスト(生体10kg当たり)の推移
資料:ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)
  注:パラナ州の生産コスト
 また、昨年後半から上昇を続けていたブロイラー生産者価格は、生産コストの低下を上回る速度で下落傾向にあり(図10)、2013年4月30日時点では生体1キログラム当たり1.8レアル(86円)まで下落した(図11)。これは、年初の同3.0レアル(143円)と比べると40パーセント安となる。この要因として、南米のトウモロコシなどの豊作見通しにより、飼料穀物価格の高騰が落ち着いたことで、鶏肉生産が増加する一方、需要の減退により、供給過剰になっていることが挙げられる。EMBRAPAでは、ブロイラー生産者価格が急速に下落し生産コストに迫りつつあることから、生産者の経営環境は依然として厳しい状況にあるとしている。
図11 生産者価格(生体1kg)の推移

資料:JOX
  注:サンパウロ州の価格

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