需給動向 国内

◆飼 料◆

平成24年度の配合・混合飼料生産量は 前年比0.4ポイント減


◇絵でみる需給動向◇


 農林水産省は5月20日、平成24年度の「流通飼料価格等実態調査〈速報版〉」を公表した。24年度の配合・混合飼料生産量は、前年比0.4パーセント減の2407万トンと3年連続で減少した。このうち配合飼料は同0.5パーセント減の2369万2000トン、混合飼料は同4.3パーセント増の37万8000トンとなった。

 配合飼料について用途別生産量を見ると、全体の26.1パーセントを占める育すう・成鶏は617万9000トン(前年比1.6%減)、25.4パーセントを占める養豚は601万トン(同0.1%減)、16.3パーセントを占めるブロイラーは385万1000トン(同1.0%減)と前年を下回る一方、18.9パーセントを占める肉牛は446万5000トン(同0.3%増)、13.2パーセントを占める乳牛は312万7000トン(同0.2%増)と前年を上回った。乳牛については23年度まで3年続けて、肉用牛については2年続けて減少傾向で推移したが、24年度はわずかに増加に転じた(図12)。
図12 配合飼料用途別生産量の推移(対前年度比)
資料:農林水産省「流通飼料価格等実態調査〈速報版〉」

配合飼料原料使用量比率、トウモロコシで減少が加速、代替として小麦などが増加

 平成24年度配合飼料原料使用量比率を見ると、最大であるトウモロコシは23年度と比較して2.3ポイント減の42.6パーセント、2番目に大きい大豆油かすは1.2ポイント減の12.5パーセントといずれも比率が低下した。トウモロコシの比率は20年度には49パーセントを占めていたが、価格高騰を反映し減少傾向で推移している。24年度は、米国中西部で発生した大規模な干ばつにより、6月後半からトウモロコシ国際価格が高騰したため、さらに減少傾向が強まった。その他の穀類では、小麦は2.4ポイント増の4.1パーセント、こうりゃんは1.1ポイント増の7.0パーセント、植物油かすでは、菜種油かすは0.6ポイント増の4.9パーセントとそれぞれ増加した(図13)。

図13 配合飼料原料使用量比率
資料:農林水産省「流通飼料価格等実態調査〈速報版〉」

用途別配合飼料原料使用量比率、養豚用で原料の代替進む

 平成24年度の用途別配合飼料原料使用量比率を19年度と比較してみると、養豚ではトウモロコシは12.8ポイント減の43.3パーセントと大きく減少する一方、小麦は9.5ポイント増の10.2パーセント、こうりゃんは4.1ポイント増の10.7パーセントと穀類における原料の代替が進んだ(図14)。特に小麦は、23〜24年度に急速に原料への利用が進み、比率が10パーセントを超える水準に達した。植物油かすのうち、大豆油かすは2.8ポイント減の12.3パーセントと減少する一方、菜種油かすは1.7ポイント増の5.1パーセントと増加した。
図14 配合飼料原料使用量比率:養豚用
資料:農林水産省「流通飼料価格等実態調査〈速報版〉」
 ブロイラーでは、トウモロコシが7.8ポイント減の35.1パーセントと養豚ほどではないが減少した(図15)。一方、こうりゃん(2.1ポイント増の17.0%)、小麦(2.2ポイント増の2.3%)がそれぞれ増加した。これらの原料については、23年度まで比率の変動は大きくなかったが、24年度に原料の代替が進んだ。大豆油かすについては、19年度以降大きな変動はない。米については、24年度に4.6パーセントを占め、他の用途より比率が高いが、19年度以降大きな変動はない。
図15 配合飼料原料使用量比率:ブロイラー用
資料:農林水産省「流通飼料価格等実態調査〈速報版〉」
 育すう・成鶏では、トウモロコシが7.5ポイント減の46.7パーセントとなる一方、こうりゃんは3.9ポイント増の5.2パーセント、DDGSは2.6ポイント増(21年度比)の3.9パーセントと増加した。小麦は24年度に増加したものの、1.6パーセントと他の用途と比較して比率は小さい。また、大豆油かすは2.7ポイント減の12.7パーセント、菜種油かすは1.1ポイント増の5.2パーセントとなった。米については大きな変動はなく2.6パーセントとなった。

 乳牛、肉牛については、他の用途と比較して配合飼料原料使用比率の変動は小さい。肉牛については、トウモロコシ(39.1%)、大裸麦(16.4%)、ふすま(14.7%)で全体の約7割を占めるが、原料使用量比率の変動はほとんど見られない(図16)。小麦については、19年度と比較して0.9ポイント増の1.8パーセントと、少しずつではあるが増加している。
図16 配合飼料原料使用量比率:肉牛用
資料:農林水産省「流通飼料価格等実態調査〈速報版〉」
 乳牛については、トウモロコシが同1.4ポイント減の42.0パーセントとなる一方、小麦は同2.5ポイント増の2.7パーセントと、年々増加している。

                                    (調査情報部 井田 俊二)

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