2012/13年度の生乳生産量は前年度比1.4パーセント減の見通し
デーリー・オーストラリア(DA)によると、豪州の2013年4月の生乳生産量は59万8000キロリットル(前年同月比9.6%減)となった(図20)。2012/13年度(7月〜翌6月)は、乳価の下落や飼料穀物価格の上昇による生産コストの増加、主要酪農地域を中心とした高温乾燥などが生乳生産に影響し、2012年12月以降、5カ月連続で前年同月を下回っている。これにより、2012/13年度の4月までの累計は796万5100キロリットル(前年同期比2.3%減)となった。
DAは2012/13年度の最終的な生産見通しについて、前年度を1.4パーセント下回る935万キロリットルとみている。
図20 豪州生乳生産量の推移 |
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資料:DA |
酪農家による将来の酪農・乳業に対する期待感は過去最低水準
DAが酪農家を対象に行った2013年の経営意識調査によると、乳価の動向や生産コストのさらなる上昇を懸念して、将来の酪農・乳業に期待ができると回答した酪農家は全体の43パーセントとなった。これは、2012年の66パーセントから大きく後退して、2004年の同調査の開始以来で最も低い水準となった。
また、2013/14年度の生乳生産見通しについて、増加および前年度並みと回答した酪農家はそれぞれ33パーセント、減少と回答した酪農家は24パーセントであった。DAによると、生産見通しにつながる2013/14年度の初期乳価は、国際乳製品価格の高騰を受け、乳製品の主要輸出地域である南部で、前年度の初期乳価から16.3パーセント高となる1キログラム当たり5.0豪ドル(500円:1豪ドル=100円)と見込まれている。これに加え、現在、高騰する飼料穀物価格は、国際需給の緩和から2013年後半には好転の兆しが見込まれるなど、酪農家にとって明るい材料がある。一方で、現在、豪州国内で飼料穀物や乾牧草の在庫は低水準にあることから、増産に向けては、春の天候の回復によって牧草の生育状況がどの程度改善するのか、高騰する飼料穀物にどの程度のコストが必要とされるのか、といった不透明な要素がある。こうしたことが、酪農家が将来に不安を抱く調査結果につながっている。
2013/14年度の生乳生産量は増加の見通し
酪農家の経営意識調査の結果によらず、DAは2013/14年度の生乳生産量を940〜960万キロリットルとし、小幅ながらも増加を見込んでいる。これは、2013年以降、堅調に推移する国際乳製品価格が、生乳生産の6割以上を占めるビクトリア州など、南部での増産意欲につながるとみているためである。
なお、同調査結果によれば、今後3年間で生乳生産量を増加させる予定であると回答した酪農家は全体の61パーセント(生乳生産量のシェアでは63パーセント)となっている。この結果からは、足元の状況が先行き不透明にもかかわらず、酪農家の将来的な増産意欲は依然として高いことが示されている。 |