需給動向 国内 |
農林水産省が発表した「平成24年度チーズの需給表」によると、チーズの消費量は、30万1495トン(前年度比6.0%増)と4年連続で増加し過去最高を記録した(表1)。多くの牛乳乳製品の需要が低迷する中にあって、はっ酵乳と並んでチーズ市場の拡大が続いている。
直接消費用ナチュラルチーズの消費量は2桁の伸び消費量の内訳を見ると、直接消費用ナチュラルチーズが18万1354トン(前年度比12.8%増)と4年連続で増加した一方、プロセスチーズが12万141トン(同2.8%減)と4年ぶりにマイナスに転じ、明暗を分けることになった。ナチュラルチーズの伸びについては、原産国価格の低下や、円高の影響に伴い、輸入価格が引き下げられたことや、業務用への用途拡大が進んだ結果、プロセスチーズの需要までも取り込んだとされている。特に、ピザ等に使われる主力のシュレッドタイプが、低価格というコストメリットから高い伸びを示した。 国産の割合は4年連続で低下供給面においては、平成24年度の国産ナチュラルチーズの生産量は、生乳生産量が回復基調にあったことを反映し、4万6525トン(前年度比2.4%増)と増加に転じた。このうち、直接消費用のものは2万1454トン(同3.7%増)となったのに対し、プロセスチーズ原料用は2万5071トン(同1.3%増)となった。また、輸入ナチュラルチーズの総量は22万8754トン(同8.1%増)と、かなりの伸びを示した。輸入ナチュラルチーズは、20年度に国際価格の高騰から2割近く数量を減らしたものの、底堅い需要に支えられ、4年連続で伸びている。この結果、チーズの総消費量に対する国産品の割合(ナチュラルチーズベース)は、前年度の17.1%から16.4%と4年連続で低下した(図9)。
期待される国産ナチュラルチーズの生産拡大チーズは指定乳製品等には該当せず、バターや脱脂粉乳と比べると低関税(一部関税割当制度)で輸入可能である。そのため、国際価格や為替レートによって輸入価格の変動幅が大きくなると、国内の需要量が左右されるという側面がある。一方、国産ナチュラルチーズについては、近年の生乳生産量が需要を充分に満たす水準まで達していなかったことから、堅調な国内のチーズ需要に応えきれていない状況にある。国産品の割合を高めるためにも、生乳生産基盤の強化と、これに伴う国産ナチュラルチーズの生産拡大が期待される。 (畜産需給部乳製品課 岡 久季) |
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