需給動向 海外

◆米 国◆

フィードロット飼養頭数の減少傾向が継続


◇絵でみる需給動向◇


 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が4月19日に公表した「Cattle on Feed」によると、フィードロット(注)の飼養頭数(2013年4月1日現在)は前年同月比5.0パーセント減の1090万9000頭となり、2012年9月以降、前年を下回って推移している(図1)。
図1 フィードロット飼養頭数の推移
資料:USDA/NASS 「Cattle on Feed」
 一方、4月のフィードロット導入頭数は同6.0パーセント増の189万9000頭となった(図2)。主要牛肉生産州における導入頭数は、テキサス州(11万頭増)、カンザス州(5万頭増)およびコロラド州(5,000頭増)で前年を上回る結果となった。これは、昨年の干ばつの影響により南部の放牧地の状態が改善されていないことから、通常、春から夏にかけて放牧する育成牛を放牧せずフィードロットに導入していると考えられる。また、この導入頭数の増加傾向が維持されれば、2013年の下半期から2014年にかけて牛肉供給量は増加するものとみられる。

注:収容能力1,000頭以上規模が対象
図2 フィードロット導入頭数の推移
資料:USDA/NASS 「Cattle on Feed」

フィードロット導入時体重は過去5年平均を上回る

 3月に導入された肥育素牛の平均体重は、718ポンド(326キログラム)となり、2009年以降、2.番目に大きい値となった。また、体重別フィードロット導入頭数では、700ポンド以上(315キログラム以上)の導入頭数が前年比5ポイント以上増加した(図3)。これは、肥育経営が夏場の需要期を見越して、比較的体重の大きい肥育素牛を導入し肥育期間を短縮することで、飼料費の削減を行っているものとみられる。このため、3月末までのカナダからの生体輸入頭数(肥育素牛)は、前年を大幅に上回る同65パーセント増の8万1569頭となっている。
図3 体重別フィードロット導入頭数の推移
資料:USDA/NASS 「Cattle on Feed」

肥育素牛価格は下落基調へ転じる

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が4月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、3月の肥育素牛(ミディアム、600〜650ポンド、オクラホマシティ市場)の価格は、前年比15.4パーセント安の100ポンド当たり152.5ドル(キログラム当たり約335円:1米ドル=99円)と大幅に下落した(図4)。肥育素牛価格は、2012年7月以降上昇に転じたものの、2013年3月は下落した。他方、飼料価格は前年水準を上回って推移しているが、肥育素牛価格の下落を受け、肥育経営の生産コストは減少するものみられる。今後、穀物の豊作見込みにより飼料価格が下落に転じた場合、さらに肥育経営の導入意欲が増加するものと見込まれる。
図4 肥育素牛と肥育牛価格の推移
資料:USDA「Livestock,Dairy,and Poultry Outlook」

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