需給動向 国内

◆鶏 肉◆

平成24年度の鶏肉調製品輸入量、過去最高を記録


◇絵でみる需給動向◇


 平成24年度の鶏肉調製品輸入量は45万3207トン(前年度比5.0%増)と、東日本大震災発生の影響により増加した23年度の実績を上回り、過去最高となった(財務省「貿易統計」、図5)。

 国別に見ると、タイ産が22万7852トン(同11.3%増)とかなり大きく増加した一方、タイと並んで輸入量が多い中国産は22万618トン(同0.6%減)と、わずかに減少した。また、数量は小さいながらも23年度に大幅に増加した韓国産は1,707トン(同31.6%減)、米国産は265トン(同15.6%減)と大きく減少した。

 24年度の調製品輸入量が前年度をさらに上回った要因の一つとして、近年の外食・中食向け、特にコンビニエンスストアでの需要の高まりが挙げられる。同輸入量の増加傾向には、16年の中国およびタイにおける高病原性鳥インフルエンザ発生以降継続している、両国からの家禽肉輸入停止措置や、両国における調製品の付加価値向上、日本国内の景気低迷による消費者の経済性志向も少なからず影響しているものとみられる。

 一方、鶏肉輸入量の24年度累計は42万2898トン(同11.0%減)と、前年度をかなり大きく下回った(財務省「貿易統計」、図5)。このうちブラジル産は38万8898トン(同7.1%減)、米国産は2万6973トン(同37.9%減)と下回った。米国産の大幅な減少の要因としては、震災により増加した前年の反動に加え、飼料穀物価格高による現地生産量の減少もあるとみられる。
図5 鶏肉・鶏肉調製品輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」

平成24年度の国産むね肉価格は過去最低水準

 平成24年度の国産鶏肉の平均卸売価格は、もも肉がキログラム当たり575円(前年度比8.3%安)、むね肉が同197円(同20.0%安)と、共に前年度を下回った(農林水産省「食鳥市況情報」、図6)。また、両者とも24年度の全ての月において過去5年間の平均卸売価格を下回った。特に、むね肉については、値上げによる需要低下を懸念する風潮が業界内で広まっていたことから、強い引き合いがあったにもかかわらず、上半期は5年平均価格を3割以上、下回る状態が続いた。この結果、平成元年以降初めてキログラム当たり200円を割り込んだ。

 25年4月の卸売価格は、もも肉が同574円(前年同月比0.6%安)、むね肉が同222円(同29.4%高)と、むね肉に関しては回復傾向がうかがえる。

 今後の価格動向については、家庭用・加工用共に強い引き合いがあること、また、輸入品価格が上昇傾向にあることから、少なくともむね肉は昨年度を上回って推移するものと見込まれる。
図6 鶏肉卸売価格の推移
資料:農林水産省「ブロイラー卸売価格」「食鳥市況情報」
  注:消費税込の金額である。

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