需給動向 海外

◆中 国◆

旺盛な国内需要を背景に、全粉乳の輸入が拡大


好調な消費を背景に上昇基調が続くヨーグルト価格

 中国国内におけるヨーグルトの小売価格は、健康志向を背景に国内消費は依然堅調で、中国商務部によると、2013年4月は前年同月比5.5パーセント高の1キログラム当たり12.63元(202円:1元=16円)となった(図23)。

 2012年4月の前年同月比が、10.6パーセント高(11.97元:192円)であったことから、ヨーグルトの小売価格上昇に鈍化傾向が現れているものの、依然、高い水準で推移している。中国では消費志向の多様化が進み、特に乳製品分野では、需要増を受けて海外乳業企業の参入などによる付加価値の高いヨーグルト市場の活性化が続いている。


図23 ヨーグルトおよび牛乳の小売価格の推移
資料:中国商務部

育児用粉乳の内外ブランド価格差が拡大

 育児用粉乳の小売価格も同様に上昇基調が続いており、2013年4月の海外ブランドの小売価格は、前年同月比4.7パーセント高の202.31元(3,237円)、国内ブランドは同6.9パーセント高の155.3元(2,485円)となった(図24)。内外ブランドの価格差は、2012年7月には45.31元(725円)まで縮まったものの、海外ブランド粉乳の安全性への信頼を背景に、4月は47.01元(752円)となり、再び内外ブランド間における価格差は広がりを見せている。
図24 育児用粉乳の小売価格の推移
資料:中国商務部

脱脂粉乳、ホエイの輸入は減少

 2013年1〜3月における全粉乳の輸入量は、前年同期比49.1パーセント増の19万2566トンとなった(表6)。内訳を見ると、NZが同51.3パーセント増の18万8789トンと大幅に増加しており、依然、圧倒的なシェアを維持している(シェア98.0%)。

 一方、脱脂粉乳の輸入量は、同29.1パーセント減の4万4990トンと大幅に減少した(表7)。内訳を見ると、シェア9割のNZ産が同12.4パーセント減の3万9100トンとなったほか、米国以下その他の合計も同68.6パーセント減の5,890トンとなった。輸入量全体では減少しているものの、結果として、NZ産への集約が進んだ。

 ホエイの輸入量も、同3.6パーセント減の9万1067トンと減少した(表8)。内訳を見ると、米国が4万769トンと同13.2パーセント増加し、シェアを6.7ポイント伸ばして44.8パーセントとした。結果的に、比較的安価な米国産への集中が進んだ。

 現地報道によると、複数の中国乳業企業がNZに進出し、乳製品工場の新設や乳業企業の株式を取得する一方、NZの大手乳業企業による、中国国内の自社牧場の拡大が発表された。中国国民の高品質商品に対する旺盛な需要に対応し、両国乳業企業は増産体制を強めている。今後、NZにとって、中国市場は主要なマーケットとして、ますますその存在感を高めていくことが予想されるとともに、NZ国内においても、中国企業の動向が注目されるところである。
表6 全粉乳の国別輸入量
資料:GTI社「World Trade Atlas」
  注:HSコード040221
表7 脱脂粉乳の国別輸入量
資料:GTI社「World Trade Atlas」
  注:HSコード040210
表8 ホエイの国別輸入量
資料:GTI社「World Trade Atlas」
  注:HSコード040410

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