需給動向 海外

◆豪州◆

2012/13年度第1〜3四半期の乳製品輸出量は増加も、
輸出単価は低下


◇絵でみる需給動向◇


高温乾燥による生乳の減産は3月も継続

 デーリー・オーストラリア(DA)によると、豪州における2013年3月の生乳生産量は、61万8700キロリットル(前年同月比7.1%減)となった(図19)。夏期の高温乾燥による放牧環境の悪化や乳牛へのストレスから、今年1月以降、生乳は減産傾向にある。2012/13年度第1〜3四半期(7月〜翌3月)累計でも、736万6500キロリットル(前年同期比1.6%減)と前年同期を下回った。

 主要酪農地域であるビクトリア(VIC)州の減産幅が大きく、3月の生乳生産量は37万5900キロリットル(前年同月比8.7%減)となっている。VIC州の中でも、かんがい地域である北部では前年同月比0.4パーセント増と前年並みを維持する一方、西部で同7.9パーセント減、東部では同17.8パーセント減となった。

 また、マレー・ゴールバンやフォンテラなど主要乳業メーカーの工場が多く立地するVIC州東部ギプスランド(Gippsland)地域では、これらの工場の集乳量も減少しているとの報告がある。

 生乳の生産動向に影響を与える飼料穀物などの価格は、4月に入り上昇し、飼料用小麦はトン当たり272豪ドル(前月比4.6%高、2万8000円:1豪ドル=103円)、ルーサン乾草は同380豪ドル(同8.6パーセント高、3万9100円)となった。かんがい用水についても、VIC州北部での4月の取引価格は前年同月の3.5倍となる100万リットル当たり49豪ドル(5,000円)と大きく上昇している。

 また、放牧環境の悪化から生産者は早期に乾乳を進める中、4月の経産牛と畜頭数は5,463頭(前年同月比38.3%増)と、大幅に増加した。経産牛の販売価格は1頭当たり218豪ドル(同24.0%安、2万2454円)と下落しているにもかかわらず、経産牛のとう汰を進めざるを得ない状況にある。
図19 豪州生乳生産量の推移
資料:DA
  注:年度は7月〜翌6月

第3四半期までの乳製品輸出量は軒並み増加も、輸出単価は低下

 2012/13年度第1〜3四半期の主要乳製品の輸出量は、バターが3万2195トン(前年同期比52.6%増)、脱脂粉乳が12万2307トン(同22.9%増)、全粉乳は7万9248トン(同13.3%減)、チーズが12万3369トン(同4.8%増)と軒並み増加した(図20)。

 他方、平均輸出単価をみると、米ドルに対して豪ドル高となる為替相場を反映して、豪ドル建て輸出額が減少したことから、バターがトン当たり3,272豪ドル(同29.9%安、33万7000円)、脱脂粉乳が同3,067豪ドル(同11.4%安、31万5900円)、全粉乳が同3,760豪ドル(同5.3%安、38万7300円)、チーズが同4,450豪ドル(同4.3%安、45万8400円)といずれも低下した(図21)。
図20 主要乳製品の輸出量の推移(7月〜翌3月)
資料:DA
  注:バターにはバターオイルを含まず
図21 主要乳製品の輸出単価の推移(7月〜翌3月)
資料:DA
  注:バターにはバターオイルを含まず

粉乳の国際価格は堅調に推移

 しかしながら、5月2日に開催されたグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)における脱脂粉乳の加重平均価格はトン当たり4,280米ドル(前年同期比56.8%高、42万3700円:1米ドル=99円)、全粉乳が同4,721米ドル(同70.0%高、46万7400円)と、4月16日開催時からは下落したものの、なお高止まりの状況にある(図22)。

 国際価格の動向を受けて、乳業メーカー各社は生乳確保を図るため、2月以降、乳価を引き上げる動きを見せている。飼料穀物価格の上昇に伴う生産コストの上昇や経産牛のと畜増によって、今後、さらなる減産も懸念される一方、乳価引き上げは生産者の生産意欲拡大につながることから、乳業メーカー各社の動きが注目されるところである。

図22 GDTにおける脱脂粉乳および全粉乳価格の推移
資料:GDT
  注:落札額の加重平均価格

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