需給動向 海外

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生乳出荷量減少により生乳価格堅調


◇絵でみる需給動向◇


 オランダ農業園芸組織連合会(LTO)によると、EU域内主要乳業メーカー17社の2月の平均生乳価格は、100キログラム当たり34.41ユーロ(4,473円:1ユーロ=130円)となり、前年同月比2.1パーセント高となった(図15)。例年、EUの乳価は、生産が増加する3月から4月にかけて最も安価となるが、大手乳業メーカーであるアーラ・フーズ(デンマーク)、デイリークレスト(英国)、フリースランドカンピナ(オランダ)では、4月の乳価をさらに引き上げることを公表しており、本年は例年と違った動きとなりそうである。

 今後の乳価の動きとしては、4月以降NZの干ばつが緩和傾向にあり、国際市場における乳製品価格が一時期の高騰から軟化していることから、EUにおける市場も連動して下がる見込みである。

 EU域内の生乳出荷量をみると、2012年7月以降、出荷は前年を下回って推移している(図16)。2013年に入ってもこの傾向は継続しており、1月は対前年比で1.8パーセント減、2月は同2.7パーセント減となった。生乳生産の減少要因として、昨年の秋の天候不良による粗飼料の品質の低下と飼料価格高騰の影響があったのに加え、欧州中央部および北部では低温に見舞われたことが挙げられる。現在、天候は回復しているものの、牧草や飼料穀物の生育が遅れており、早急な生乳生産の回復は困難とみられている。
図15 生乳価格の推移
資料:LTO
  注:域内主要乳業17社の平均値
図16 生乳出荷量の推移
資料:ZMB
  注:2013年は暫定数値

2013年のバター価格は堅調に推移

 1月のバター生産量は、EU全体で前年同月比3.0パーセント減の16万7000トンとなった(表5)。英国、スウェーデンと一部東欧地域で増加がみられたものの、EUにおけるバター生産量1位から4位のドイツ、フランス、オランダ、ポーランドで軒並み減少した。

 バター価格は、生乳の減産に伴い、生産が減少したことにより堅調に推移している。ドイツ乳製品市場価格情報センター(ZMB)によると、例年は、生乳生産がシーズンとなる春先と3月末のイースター需要の終息によりバター価格は軟化するが、本年は、長引く低温と飼料価格高騰による影響により、価格は高水準のまま維持されているとコメントしている。
表5 国別バター生産量
資料:ZMB
図17 バター卸売価格の推移
資料:ZMB オランダバター価格
 また、NZおよび豪州における干ばつの影響により、国際市場におけるバター出回り量が減少し、価格が高水準で推移したことも、バター価格が堅調に推移した要因になったとしている(図18)。

 今後の動向は、生乳生産の早急な回復がみられないこと、また、国際市場価格が依然として高値で推移していることから、EUのバター価格はもうしばらく高水準で推移する見通しである。
図18 EU、米国、オセアニアのバター価格の推移
資料:欧州委員会「Milk Market Situation 18 April 2013」より引用


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