需給動向 海外

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豚枝肉価格は横ばい、飼養頭数は減少傾向


◇絵でみる需給動向◇


2013年4月の豚枝肉卸売価格、前年同月比4.5ポイント高

 欧州委員会によると、EUにおける4月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり170.86ユーロ(22,212円:1ユーロ=130円)と前月から横ばい、前年同月比で4.5パーセント高となった(図9)。例年、3月から4月にかけ、気温の上昇に伴い域内需要の増加がみられるが、今年は欧州全土において3月の気温が低かったため、需要の増加は限定的なものとなった。加えて、ロシア向け、日本向けの豚肉輸出が低調であったことが、価格上昇を妨げる要因となった。

 豚肉主要生産国の状況をみると、スペインが192.65ユーロ(25,045円、前年同月比14.4%高)となり、EU平均価格を20ユーロ程度上回る価格で推移している。一方、デンマークは154.39ユーロ(20,071円、同4.9%高)、オランダは156.01ユーロ(20,281円、同1.1%高)となっており、この2カ国は平均価格を15ユーロ程度下回り、EU27カ国中もっとも低い価格水準となっている。

図9 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

豚飼養頭数、母豚飼養頭数がともに減少

 欧州委員会によると、集計値が公表されなかったギリシャ、キプロスを除いた2012年におけるEU25カ国の豚総飼養頭数は、前年比1.7ポイント減少し、1億4448万頭となった(表2)。上位10カ国の状況をみると、ドイツ、ベルギーの2カ国がわずかに増加したものの、その他の国では横ばいあるいは減少となった。特に、ポーランドが14.7ポイント減とかなり大きく減少した。

 また、繁殖母豚頭数は全体で同4.2ポイント減少し、1255万4000頭となった。上位10カ国の状況をみると、ベルギー、英国を除き減少し、減少率が大きかったのは、ポーランド(10.2%減)とイタリア(10.8%減)の2カ国であった。

 統計上、子豚(20キログラム未満)は全体で1.3ポイント減と、わずかな減少にとどまっているが、繁殖母豚の減少をうけ、今後の子豚供給量の減少が懸念される状況となっている。
表2 国別豚飼養頭数(上位10カ国)
資料:欧州委員会
注 1:各年12月現在
注 2:ギリシャ、キプロスの2012年集計値が公表されていないため、25カ国での比較とした

子豚価格は弱含みの傾向

 欧州委員会によると、EUにおける4月の子豚価格は1頭当たり51.44ユーロ(6,687円)となり、前月から0.9ポイント下げて前年同月比0.3パーセント高と、前年並みの価格水準となった(図10)。

 子豚価格は、2011年10月より一貫して前年同月を上回り、2012年4月に51.31ユーロと、ユーロ導入以来の最高値をつけたが、価格上昇は頭打ちとなった。EU域内、域外の豚肉需要がともに低迷し、需要期であるにもかかわらず枝肉価格は停滞している。こうした中、飼料価格が高止まっており、肥育経営からの引き合いが弱まっているものとみられる。

 しかしながら、EU域内の繁殖母豚頭数の減少により、子豚供給頭数は限られたものとなっており、今後とも、供給不足によるさらなる価格高騰が懸念される。
図10 子豚価格の推移
資料:欧州委員会

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