需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成24年度の生産量はわずかに増加、輸入量はやや減少


◇絵でみる需給動向◇


 平成24年度の豚肉生産量は、90万6713トン(前年度比1.4%増)と、3年ぶりに前年を上回った(農林水産省「食肉流通統計」、図3)。22、23年度は、口蹄疫や22年夏場の猛暑、東日本大震災など、突発的な事象によって減少したものの、24年度はそうした影響が解消されたことに加え、口蹄疫からの回復過程にある宮崎県の生産量の増加が影響しているものと思われる。月別に見ても、前年を上回る月が多く、下回った月も、残暑の影響により前年同月と比べて7.3ポイント減少した9月を除き、同3ポイント以内の減少にとどまっており、基調としては増加傾向にある。

 また、24年度の輸入量は、75万9778トン(同5.4%減)と、3年ぶりに前年を下回った(財務省「貿易統計」)。このうち、主にテーブルミートに仕向けられる冷蔵品の輸入量は、26万1753トン(同1.5%増)と、3年連続で前年を上回った。量販店を中心に一定の需要があることから、23年4月以降、毎月の輸入量はおおむね2万トン台前半の一定水準を維持しており、年度計では、前年をわずかに上回る程度となった。

 一方、主に加工に仕向けられる冷凍品は、49万7956トン(同8.6%減)と、3年ぶりに前年を下回った。24年4月以降、輸入申告に係る審査・検査の充実化が図られたことや、25年1月頃からの為替の円安傾向などから減少しているものと推察される。

図3 豚肉生産量・輸入量の年度別推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」

平成24年度の期末在庫、出回り量、共に減少

 平成24年度末の推定在庫は、17万4560トン(前年度比4.5%減)と、3年ぶりに前年を下回った(機構調べ)。年度前半は輸入申告に係る審査・検査の充実化開始に伴い、一定数量の在庫を確保する動きなどから、積み増し傾向となったものの、年度後半は冷凍品を中心に輸入量の減少傾向が続いたことから、取り崩しが進んだとみられる。

 これらの結果、24年度の推定出回り量は、167万4572トン(同0.8%減)と、3年ぶりに前年を下回った(機構推計)。このうち、国産品は、90万4391トン(同0.7%増)と、生産量の増加を背景に前年を上回ったものの、輸入品は、77万181トン(同2.5%減)と、冷凍品を中心とした輸入量の減少により前年を下回った。

平成24年度の豚枝肉卸売価格、前年を下回る

 平成24年度の豚枝肉卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)は、キログラム当たり440円(前年度比3.3%安)と、2年連続で前年を下回った(農林水産省「食肉鶏卵速報」、図4)。月別に見ても、前年がかなり大きく下落した10月、スソ物を中心とした輸入品の不足感などから上昇した3月を除き、すべての月で前年同月を下回っている。冷蔵豚肉が一定数量輸入されていることに加え、国内生産量が増加傾向にあること、また、低価格で推移する鶏肉との競合などが背景にあるものとみられる。
図4 豚枝肉の卸売価格の推移
資料:農林水産省「食肉鶏卵速報」
  注:東京・大阪市場の省令規格加重平均

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