LTO(オランダ農業園芸組織連合会)によると、域内主要乳業メーカー17社の12月の平均生乳価格は100キログラム当たり前年比1.0%安の34.24ユーロ(4,280円:1ユーロ=125円)となり、高値で推移した2011年とほぼ同じ水準となった。欧州では、例年、クリスマスの最需要期に向けて生乳価格が上昇し、12月には需要が落ち着くため価格が下がるが、2012年は、例年より価格の下げ幅が小さかった。これは、英国やアイルランドでの夏から秋にかけての多雨や低温の影響で生乳生産量の減少による乳価高と、オランダの大手乳業メーカー(フリースランド・カンピナ)が冬のボーナスとして乳価を35.78ユーロまで引き上げたことが主な要因である。しかし、フリースランド・カンピナによる乳価の引き上げは短期的なものであり、1月および2月にそれぞれ1.2ユーロ、0.75ユーロの引き下げることが既に公表されている。
図10 月別生乳価格の推移(EU) |
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資料:LTO
注:域内主要乳業17社の平均値 |
欧州乳製品輸出入・販売業者連合会議が開催
1月28日、29日にかけて欧州乳製品輸出入・販売業者連合(EUCOLAIT)会議が開催された。本会議で2012年のEU酪農業界を「春の乳価低迷と秋口からの回復、乳製品輸出の増加、生産コスト上昇」との総括でまとめた。
また、2012年の生乳生産は、季節変動がこれまでよりも顕著となっており、昨年後半からの飼料コストの高騰は、現在も継続していることから、2013年の生乳生産はさらに季節変動が顕著になる見込みであるとの報告がなされた。
バターは、生乳出荷量の増加に伴い生産量が増加した一方、在庫が減少したことから、価格も堅調に推移した。輸出は価格が堅調に推移したため低調であったが、昨年と比べて価格が若干下がったことから、家庭向け消費が増加した。また、クリーム価格が高水準で推移したためバターへの代替需要が高まったことも価格が堅調に推移した一要因として挙げられた。
脱脂粉乳は、域内および国際需要が高く、輸出量が大幅に増加した。このため、生乳価格が春先に低迷したなかでも高水準で推移した。一方、全粉乳は、主要輸出国であるNZおよび米国に対してEUは国際競争力が低く、生産量が減少した。2013年も引き続き減少の見込みである。
チーズは、生乳生産量の増加に伴い大きく市場が拡大した。特に輸出量は639千トンと前年比14.7%増(1〜10月)となり、過去最高となった。チーズが順調であった背景にホエイの需要が高く、ホエイ価格が堅調に推移し、チーズとホエイの製造が最も利益率が高くなったことも要因となった。2013年は、主な輸出先であるロシアの生乳生産が増加していることなどから輸出量は維持もしくは減少の予測である。
図11 月別生乳出荷量(EU)
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資料:ZMB(ドイツ乳製品市場化価格情報センター)
注:2012年は暫定数値
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図12 品目別乳製品輸出量(1〜10月)(EU)
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資料:ZMB
注:2012年は暫定値
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