平成24年12月の生乳生産量は63万2253トン(前年同月比0.1%減)となり、14カ月ぶりに前年同月を下回った(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。23年度は東日本大震災の影響により東北・関東の生乳生産量が大きく落ち込み、24年度はその反動から前年同月を上回って推移していたが、24年冬頃から従来の漸減傾向に回帰しつつある。
北海道はわずかに増加、都府県は2カ月連続の減少
12月の生乳生産量の伸び率を地域別にみると、北海道が32万7645トン(同0.7%増)となったのに対し、都府県は30万4608トン(同1.1%減)と2カ月連続の減少となった。なお、都府県のうち約3割のシェアを占める関東が同1.0%減、2割弱を占める東北も同1.7%減となっている。両地域とも震災直後に大幅に減少し、その後は回復傾向で推移しているが、震災前の生産量には回復していない。一方、12月の九州の伸び率は同1.2%増と17カ月連続で増加し、他の地域と比べ最も順調な生産状況となっている。
平成25年度生乳生産見通し、前年度比0.6%減
社団法人日本酪農乳業協会(J-milk)の予測によれば、第4四半期(1〜3月)の生乳生産量は190万2000トン(前年同期比1.3%減)、25年度は756万トン(同0.6%減)とされている(J-milk「平成25年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと今後の課題について」)。また、今後の課題については、長期的に漸減傾向で推移している生乳生産に関して、生乳生産基盤の維持・強化が必要と指摘した上で、酪農生産者戸数や乳牛頭数の減少に歯止めをかけ、新規就農や規模拡大を促進するための対策を業界が一体となって積極的かつ具体的に取り組んでいくことを急務としている。
平成25年度の加工原料乳生産者補給金単価は、3年連続引き上げ
農林水産省は1月25日、食料・農業・農村政策審議会の答申を踏まえ、平成25年度の加工原料乳生産者補給金単価を24年度より1キログラム当たり35銭引き上げ、12.55円とすることに決定した。引き上げは3年連続であり、その要因として飼料費の高騰や家族労働費の上昇が挙げられている。
生乳生産量が漸減傾向にある中、現行の乳製品供給量では国内の需要量を満たすことが出来ていないため、平成23年度および平成24年度に2年連続でバターの追加輸入を行っている。今回の生産者補給金単価引き上げが、国内生乳生産の維持と乳製品需給の安定につながることが期待される。
図7 月別生乳生産量と伸び率(前年同月比)の推移
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資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
注1 :平成25年1月以降の値は、25年1月28日に公表されたJ-milkの予測値
注2 :2月の伸び率については、平成24年がうるう年であったことを考慮する必要がある |
表2 J-milkによる生乳需給と乳製品生産量の予測
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資料:J-milk「平成25年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと今後の課題について」 |
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