需給動向 海外

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豚枝肉価格は続落、子豚価格高騰で収益性悪化懸念


◇絵でみる需給動向◇


豚枝肉卸売価格、前年同月比9.3%高

 欧州委員会によると、EUにおける12月の豚枝肉卸売価格は、100キログラム当たり174.2ユーロ(21,775円:1ユーロ=125円)と前月から3.4%下落、前年同月比で9.3%高となり、通年で前年同月の枝肉価格を上回る水準で推移した。この一年間を顧みると、豚枝肉価格は8月、9月に高騰し、10月以降は続落しているものの、高水準を保っている。

 豚肉主要生産国のうち、12月に最も大きな下落を見せたのはイタリアで、前月から6.9%下げて188.6ユーロ(23,575円)とし、次いでドイツが前月から5.9%下げて173.9ユーロ(21,737円)となった。また、主要国のうち、デンマークのみが値を上げ、前月比7.5%高、前年同月比で22.3%高とかなり上昇し、182.5ユーロ(22,812円)であった。

図2 豚枝肉卸売価格の推移
資料:欧州委員会

 また、欧州委員会が公表した統計によると、EUにおける10月の豚肉生産量は、198万トンと前月から17.7%増、前年同月比で5.6%増となった。価格高騰が顕著であった9月の生産量は、前年同月比で9.9%減少していたため、10月はこの需要に応える形でと畜頭数が増えたものとみられる。と畜頭数が増加した結果、10月以降の価格は下落基調に転じた。

 しかし、統計では11月、12月ともに前年同月よりもわずかに減少すると見込んでおり、2012年全体の豚肉生産量は1.1%減少するとしている。このため、市場にはまだ不足感が残り、豚肉価格は高値が維持されるものと考えられる。
図3 豚肉生産量の推移
資料:欧州委員会
  注:枝肉重量ベース、2012年11〜12月は見込
 なお、枝肉価格は下落基調にあるものの、子豚価格は再び上昇を続けている。欧州委員会によると、EUにおける12月の子豚価格は48.1ユーロ(6,012円)と前月から1.8%高、前年同月比で11.4%高とかなりの上昇となった。枝肉価格が落ち込む一方、子豚価格は9月から上昇を続けており、肥育経営の収益性悪化が懸念される状況になりつつある。

 豚肉主要生産国においても、12月はフランスとポーランドを除き子豚価格が上昇しており、特にデンマークでは前月から7.5%高と、かなりの程度上昇している。なお、直近の週別子豚価格(1月14日〜20日)をみると、EU全体では前週比0.2%高(48.3ユーロ、6,037円)とわずかに上昇した程度であったが、デンマークで前週比36.6%高(60.6ユーロ、7,575円)、ハンガリーで同29.9%高(51.0ユーロ、6,375円)と急騰を見せている。

 今後、2013年1月から施行されている母豚ストール飼い禁止が子豚生産に与える影響は豚肉生産全体に波及してくると考えられており、さらなる子豚価格上昇が懸念される。
図4 子豚価格の推移
資料:欧州委員会

デンマーク、豚肉生産量は前年比7.1%減

 デンマーク食料農業理事会によると、2012年の同国における豚肉生産量は、前年比7.1%(149万トン)減の1942万トンとなった。月別にみても、年間を通じて前年同月を下回る水準で推移した。

 また、生体豚輸出頭数は、子豚(50キログラム以下)が同15.0%増の924万頭、肥育豚など(50キログラム超)が同9.4%減の45万頭となった。なお、子豚、肥育豚ともに生体豚の輸出頭数の7割以上は、ドイツに仕向けられている。近年の推移をみると、年々増加する子豚頭数に比べ、ここ数年で肥育豚の輸出頭数は急激に減少しており、対照的な傾向を示している。

 好調な子豚相場も手伝って、デンマークの子豚輸出頭数はかなり大きく増加してきており、あわせて、デンマークでは国内のと畜頭数がかなりの程度減少している。このことから、ダニッシュクラウンなどの食肉企業は、国内と畜数を維持するために肥育豚買取価格を数ヶ月先まで保証するなどの取り組みも始めている。EUの豚肉生産動向を把握するため、デンマークを中心とした生体豚の動きが今後とも注目される。
図5 豚と畜頭数の推移(デンマーク)
資料:デンマーク食料農業理事会
  注:大貫(135kg以上)含む
図6 子豚生体輸出の推移(デンマーク)
資料:デンマーク食料農業理事会
  注:生体重50kg以下
図7 肥育豚等生体輸出の推移(デンマーク)
資料:デンマーク食料農業理事会
  注:生体重50kg超、母豚含む

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