需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

2012年の牛肉輸出量は2001年に次ぐ低水準


輸出量は前年比24.8%減

 アルゼンチン動植物衛生機構(SENASA)によると、2012年のアルゼンチンの牛肉輸出量は前年比24.8%減の11万7794トン(製品重量ベース)となった(図7)。また、アルゼンチン牛肉・牛肉副産物および取引会議所(CICCRA)の報告によると、同年の牛肉輸出は過去11年間で、国内において口蹄疫が発生した2001年(8万3642トン)に次ぐ低水準であったとしている。

 輸出先を国別で見ると、チリが最大の輸出先であり、ドイツ、イスラエル、ロシアがこれに続いた。主要輸出先で前年を上回ったのはチリのみで、これは、パラグアイで発生した口蹄疫によりアルゼンチン産にシフトしたことに起因する。

 輸出量の構成割合を見ると、生鮮・冷蔵肉が74%、EU向けのヒルトン枠(EU向け骨なし高級生鮮牛肉の低関税割当枠、対象期間:7月1日〜翌年6月30日)が19%、加工肉が7%となった。

 品目別でみると、生鮮・冷蔵肉が前年比26.1%減の8万7518トンとなった。主な輸出先はチリ、イスラエル、およびロシアで、ドイツ、ブラジルを含め全輸出量の88%を占めている。

 EU向けのヒルトン枠は同8.9%増の2万1821トンとなった。主な輸出先はドイツ(輸出量シェア60.8%)、オランダ(同22.8%)、イタリア(同13.1%)の3カ国である。2011/12年度の輸出量は割当数量(2万9375トン)の約6割にとどまり、5年連続で割当数量を消化することができなかった。また、2012/13年度は12月時点で輸出量は割当数量(3万トン)の3分の1にとどまり、残り6カ月で達成することは困難とみられている。

 コンビーフ、ハンバーグなどの加工肉は、同53.3%減の8455トンとなった。主な輸出先はオランダ、イタリア、米国である。

図7 ヒルトン枠の輸出量の推移
資料:アルゼンチン動植物衛生機構(SENASA)

2013年の輸出量も低調の見通し

 CICCRAによると、2013年1〜2月のと畜頭数は前年同期比9.7%増の202万9千頭、生産量は前年同期比12.9%増の47万トン(骨付き重量ベース)となった(図8)。1頭当たりのと畜重量は226キログラムとほぼ前年同期並み(0.6%増)であったが、と畜頭数の増加が生産量の増加につながった。子牛価格の低迷や生産コストの上昇による収益性の低下から、特にめす牛のと畜が増加している。このため、繁殖めす牛の保留が停滞し、今後は牛群の減少局面に向かうものと見られている。

 なお、米国農務省(USDA)によると、2013年の生産量は前回の見込みを上方修正し、280万トン(枝肉重量ベース)、と畜頭数は1250万頭と見通している。

 また、輸出量については2012年並みの18万トンと引き続き低水準の見込みを示している。政府の為替管理強化により現地通貨であるペソの過大評価が競争力を失わせており、流通業者も輸出に向けるよりも国内向けに販売することを選択している。

図8 牛と畜頭数の推移
資料:MinAgri

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