需給動向 海外

◆豪 州◆

中国向け増などを反映し、2013年第1四半期輸出量は高水準


◇絵でみる需給動向◇


2013年第1四半期輸出量は2007年に次ぐ2番目の記録

 豪州農漁林業省(DAFF)によると、2013年3月の牛肉輸出量(子牛肉含む。船積重量ベース)は8万7742トン(前年同月比5.2%増)となった(表1)。これにより、1〜3月の累計は22万3423トン(前年同期比6.8%増)となり、過去最高の数量であった2007年第1四半期の水準には及ばないものの、その差4,000トンにせまるものとなっている。これは、南東部を中心とした高温乾燥気候によると畜頭数の増加が牛肉の増産や国内の肉牛価格の低下につながったことや、中国など一部市場からの需要の高まりなどが要因とみられる。

 また、第1四半期の主要3カ国(日本、米国、韓国)向けのシェアは、2012年同期の72%から62%に減少し、過去最低となった。

表1 国・地域別牛肉輸出量
資料:DAFF
注 1:船積重量ベース
注 2:CISはロシア他

中国向けは韓国を抜いて3位に

 3月輸出量を輸出先別にみると、日本向けは2万4253トン(同3.1%減)と減少した(図1)。これは、2013年以降、円安基調の進行が豪州産牛肉の輸入価格を押し上げたことや、米国や中国からの豪州産への引き合いが強まったことによるとみられる。

 米国向けも前年同月から大幅に減少し、1万8059トン(同32.6%減)となった。対米ドルでの豪ドル高や、加工用が中国向けと競合したことが影響したほか、干ばつが深刻化するNZで経産牛のと畜頭数が増加したことから、価格優位性が高まったNZ産加工用牛肉の米国向け輸出が増加したことが影響した。

 一方、中国向けは1万2320トン(同27倍)となり、単月での過去最高数量を2カ月連続で更新し、これまで豪州産の仕向け先第3位であった韓国向けを上回った。中国国内で外食産業からの需要が高まる中で、国内産の供給不足や中国内の物流システムなど供給面の改善などが輸入増加の要因とみられている。

 ほかには、韓国向け1万1249トン(同42.0%増)、中東向け4,902トン(同61.4%増)などが増加した。

図1 国別牛肉輸出量の推移
資料:DAFF

3月のEYCI価格は再び下落するも、肥育牛価格の下落幅は小幅にとどまる

 2013年1〜2月と畜頭数は120万6200頭(前年同期比7.9%増)となった(図2)。また、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、3月の東部州におけると畜頭数は前月から6%上回り、前年同月比では9%増となった。

 肉牛取引の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は再び下落傾向で推移し、3月平均は1キログラム当たり334豪セント(前年同月比15.2%安、334円:1豪ドル=100円)と下落した(図3)。これは、乾燥気候による飼養環境の悪化により、牧草肥育業者やフィードロットの素牛需要が依然低調なことが要因となっている。しかしながら、と畜業者からの肉牛需要は堅調なことから、同月の肥育牛価格は前年同月から7〜9%の下落にとどまっている。
図2 と畜頭数の推移
資料:MLA
  注:年度は7月〜翌6月
図3 EYCI価格の推移
資料:MLA
注 1:年度は7月〜翌6月
注 2:EYCI価格は東部3州(QLD州、NSW州、VIC州)の主要家畜市場における
    若齢牛の加重平均取引価格。家畜市場の指標価格となっており、肥育牛
    や経産牛の家畜市場価格などとも9割近い相関関係にある。

元のページに戻る