2012年の肉用牛飼養頭数は減少、2013年は横ばい
ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)は3月、2012/13年度(10月〜翌9月)の牛肉産業の見通しの期中改定版を公表した。
これによると、2012年(6月末時点)の肉用牛飼養頭数は、2010年春の出生頭数の減少や南島における酪農業への土地利用の転換を反映して、374万頭(前年同期比2.9%減)となった(図4)。一方、2012年春から酪農経営を開始した生産者は100〜120戸と推計されており、2012年の乳用牛飼養頭数は646万頭(同4.7%増)となっている。
2013年の肉用牛飼養頭数は、ほぼ横ばいの375万頭(同0.3%増)と見込まれる。
図4 肉用牛飼養頭数の推移 |
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資料:BLNZ
注 1:各年6月末時点
注 2:2013年は推計 |
2012/13年度の輸出量はと畜頭数の増加を反映し、前年度5%増の見込み
2012/13年度の輸出向けと畜頭数は227万8000頭(前年度比8.8%増)と大きく増加が見込まれ、特に、経産牛および未経産牛はそれぞれ843万頭(同16.0%増)、423万頭(同13.4%増)の大幅増としている(図5)。これは、前年度の天候が良好であったことから、好調な酪農部門の頭数拡大が続き、経産牛の更新時期を遅らせたため、今年度に出荷の増加が見込まれることに加え、干ばつも影響しているものとみられる。
輸出向けの1頭当たり平均枝肉重量は、雌牛のと畜割合の増加や飼養環境の悪化から減少し、255キログラム(同3.3%減)と見込まれる。
図5 輸出向けと畜頭数および枝肉重量の推移 |
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資料:BLNZ
注:2012/13年度は推計 |
2012/13年度の牛肉輸出量(船積重量ベース)は、と畜頭数の増加を反映して前年度比5.2%増の36万7000トンを見込んでいる(図6)。また、輸出額(FOB価格)も21億3000万NZドル(1725億円:1NZドル=81円)と前年度を4.1%上回るものの、輸出単価は1トン当たり5,810NZドル(47万1000円)と前年度を3.3%下回るとみている。輸出量増加の要因には、干ばつにより国内生産量が減少する米国向けや、牛肉需要が拡大する中国向けの増加を挙げており、一方、輸出単価減少の要因については、米国および中国向けの大半が安価な加工用牛肉や冷凍牛肉であることとみられる。
図6 牛肉輸出量と輸出単価の推移 |
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資料:BLNZ
注:2012/13年度は推計 |
北島の経産牛と畜頭数の増加により、10月〜翌2月輸出量は1割超の増加
肉用牛の7割が飼養される北島では、2012年末より極度の乾燥状態となり、3月15日には北島全域が干ばつ地域に指定された。現地では、干ばつの影響から、牧草が減少する冬期に向けて早期出荷が進み、と畜頭数の増加が報じられている。
NZ統計局にょると、2013年2月のと畜頭数(国内向け含む)は27万3000頭(前年同月比25.8%増)、2012/13年度の累計(10月〜翌2月)では115万9000頭(前年同期比15.6%増)と、いずれも大幅に増加した。特に、北島における経産牛のと畜頭数が著しく伸びており、2012/13年度の累計は21万300頭(同72.2%増)となった。
と畜頭数の増加に伴い輸出も増加し、同年2月輸出量(船積重量ベース、暫定値)は4万800トン(前年同月比9.5%増)、2012/13年度の累計は14万2000トン(前年同期比14.0%増)と、現在のところ、BLNZの見通しを上回る水準で推移している。
また経産牛のと畜増により、加工用牛肉が大半の米国向けや冷凍牛肉中心の中国向けが増加している。主要輸出先の2012/13年度の累計は、米国向けが6万9200トン(同33.5%増)、中国向けが1万2600トン(同7.9倍)、韓国向け1万1000トン(同9.4%増)と前年同期から増加する一方で、日本向けは1万1000トン(同2.9%減)と前年を下回っている。 |