需給動向 国内

◆鶏 肉◆

国産むね肉ともも肉、卸売価格の推移に違い


◇絵でみる需給動向◇


2月・3月のむね肉卸売価格は前年を大きく上回って推移

 従来、わが国ではもも肉への嗜好が強く、むね肉は余剰部位として扱われてきた。しかし近年は、消費者の経済性志向を受けた、量販店における特売アイテムとして、また加工原料肉としてのむね肉の需要が高まっている(既報)。さらに、最近は、後述のとおり輸入品価格が高値で推移していることも、国産むね肉に対する需要を押し上げる一因となっている。その表れとして、平成25年1月以降、例年どおりの傾向により低落していたむね肉の卸売価格は、2月中旬に底を打ち、その後は4月13日現在に至るまで、緩やかに上昇、またはもちあいで推移している。2月の平均卸売価格(既報)はキログラム当たり210円(前年同月比10.6%高)、3月の速報値は同215円(同20.1%高)と、前年を大きく上回る水準であった(農林水産省「食鳥市況情報」、図4)。

図4 鶏肉卸売価格の推移(むね)
資料:農林水産省「食鳥市況情報」

もも肉は1月以降、下落傾向が続く

 一方、もも肉は1月中旬以降、下落基調で推移し、3月の卸売価格(速報値)はキログラム当たり596円(同0.4%高)と、低迷した前年と同水準まで落ち込んだ(農林水産省「食鳥市況情報」、図5)。気温上昇に伴い、増体率が順調に回復している一方、需要不振が続いたためと考えられる。
図5 鶏肉卸売価格の推移(もも)
資料:農林水産省「食鳥市況情報」

大型連休後の価格動向に注目

 国産もも肉価格の下落傾向は、4月上旬においても歯止めがかからないが、行楽需要などにより、大型連休前には上昇に転ずるものと予想される。

 また、昨年来、ブラジル産鶏肉の現地相場が高値で推移している上、為替相場の円安傾向が一層進んでいることから、当面の間は、在庫水準をにらみつつ、慎重な姿勢で輸入品の買い付けを進める企業が多いとみられ、輸入量は今後減少傾向で推移する可能性がある。従って、国内生産量が前年を大きく上回ることがなければ、国産品価格は堅調に推移することが期待される。しかし、タイ産鶏肉の対日輸出解禁時期など不確定要素もあり、状況によっては同価格が伸び悩む可能性も十分考えられる。まずは、むね肉、もも肉共に、大型連休前後で価格がどのように推移するか注目される。

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