需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成25年2月の輸入量、4カ月連続で前年同月を下回る


◇絵でみる需給動向◇


 平成25年2月の豚肉輸入量は、冷蔵品、冷凍品合わせて5万7954トン(前年同月比8.5%減)となった(財務省「貿易統計」、図2)。4カ月連続で前年同月を10%前後下回っており、減少傾向が継続している。

図2 豚肉輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」
 このうち、主に加工に仕向けられる冷凍品は、3万7288トン(同10.2%減)となり、4カ月連続で前年同月を10%以上下回った。為替の円安傾向や、デンマークなどの現地相場の高水準での推移、輸入申告に係る審査・検査のさらなる充実化などから、減少傾向が継続している。国別に見ても、主要輸入先国である米国、カナダ、デンマークからの輸入量は、いずれも前年同月を10%以上下回っている。

 一方、主にテーブルミートに仕向けられる冷蔵品の輸入量は、2万663トン(同5.1%減)となった。5カ月ぶりに前年同月を下回ったものの、23年4月以降、おおむね毎月の輸入量は2万トン前後となっており、この傾向が継続している。

 ところで、4番目の輸入先国であるメキシコからの輸入量は、冷蔵品・冷凍品合わせて3,650トン(同16.3%増)と前年同月を大幅に上回っており、24年度(4月〜翌2月)全体で見ても、前年同期を6.0%上回っている。既述の3カ国とは異なり、増加傾向が続いている背景として、日本はメキシコの豚肉輸出量の約8割を占める最大の輸入国であり、焼豚用に加工処理した商材など、安価な一次加工品を中心に一定の需要があるものとみられる。さらに、メキシカンポーク輸出業者協会によると、日本が新たに輸入を解禁した同国ハリスコ州からの最初の貨物が、3月15日に現地を出発したとのことである。メキシコからの豚肉輸入については、日本が豚コレラ清浄地域と認めた州からの輸入を認めており、ハリスコ州は、昨年11月に日本への輸入が解禁された。同州は同国最大の生産量を誇るため、今後の輸入量にどの程度影響を及ぼすか注目される。

輸入豚肉の仲間相場、冷凍品が上昇

 当機構の調査によると、2月の輸入豚肉(冷蔵品)の卸売価格(仲間相場)は、ほとんどの部位が前年同月を下回った。競合する国産豚枝肉の卸売価格が弱含みで推移していることから、輸入冷蔵品についても比較的低水準で推移しているとみられる(図3)。

 一方、2月の輸入豚肉(冷凍品)の卸売価格は、ほとんどの部位が前年同月を上回った。特に米国産「うで」はキログラム当たり470円(同32.4%高)、カナダ産「もも」は同506円(同29.7%高)と、大幅に上昇している。冷凍品の輸入量が減少傾向で推移しているため、ソーセージ用などの挽き材、加工向け商材の逼迫感から、上昇傾向にあるものと推察される。
図3 輸入豚肉の卸売価格(仲間相場)の推移
資料:農畜産業振興機構調べ

冷凍品の減少傾向は継続の見込み

 こうした状況の中、機構では、平成25年2月から3月にかけて、主要な輸入商社に対し、25年1年間の輸入見通しについて調査を実施した。同調査の結果、冷蔵品は前年をわずかに上回り、冷凍品は前年をかなり下回るという見通しが得られた。冷蔵品については、量販店から一定の需要があることに加え、輸入量が減少傾向にある冷凍品から冷蔵品へと加工向け商材の代替が進むという見通しによるものである。

 一方、冷凍品は、現地相場が高水準で推移していることや、為替の円安傾向などを背景に今後も減少傾向が継続するとしている。

 この状況が続くようであると、輸入冷蔵品、さらには国産豚肉への代替や、ソーセージ、豚肉調製品の輸入の増加が進むことが考えられる。

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