調査・報告  畜産の情報 2013年5月号

平成24年度牛乳・乳製品の消費動向に
関する調査の結果について

調査情報部


【要約】

 本調査は毎年度、牛乳・乳製品の消費動向など基本項目について実施している。平成24年度調査結果において、白もの牛乳類の飲用頻度は、「ほぼ毎日飲む」人が43パーセントと2005年以降、減少傾向となる一方、「全く飲まない」の割合が16パーセントに増加。また、1日当たりの平均飲用量は、全体的に微減となっており、白もの牛乳類の飲用量・飲用機会は引き続き減少傾向となった。白もの牛乳類の飲用シーンで最も多いのは「朝食をとりながら」で、飲用理由は「カルシウム・栄養・健康」に関するものが前年度と同様に上位を占めた。

 チーズを食べる頻度は、「週に1日以上食べる」人が37パーセント、直近1カ月間にチーズを使った料理を食べた人は67パーセント、平均回数は4.4回、料理で最も多いのはピザであった。また、チーズ購入時に意識することは、国産チーズ派が46パーセントを占める一方、産地を意識しない派が51パーセントとなった。

T.調査の目的等

 本調査は牛乳・乳製品の消費・購入・嗜好など基本的な項目の聞き取りを通じ、その消費構造の変化や消費動向を的確に把握し、牛乳・乳製品の消費拡大に向けた取組みなどに役立つ情報を収集・提供することを目的として毎年実施している。調査の実施に当たっては、地域・年代などに偏りが生じないように調査設計を行った。

 本稿では、白もの牛乳類およびチーズの調査結果を抜粋し紹介する(報告書の要約版、全文については、当機構ホームページ(http://www.alic.go.jp)で掲載)。この調査結果が、酪農乳業関係者にとどまることなく広く活用され、牛乳・乳製品の消費拡大を推進する上で参考になることを期待する。

U.白もの牛乳類の飲用実態

1.白もの牛乳類の飲用頻度  〜ほぼ毎日飲む人は43パーセント〜

 2012年の調査結果では、飲み方を問わず白もの牛乳類の飲む頻度を聞いたところ、「毎日飲む」と回答した人は35パーセントとなった。「週に5〜6日飲む」を合わせると、中学生以上の43パーセントが毎日飲んでいるという結果となった。「ほぼ毎日飲む」人の割合は2005年以降、減少傾向が続いており、2012年は前年と同程度となった(図1)。

 「ほぼ毎日飲む」人の割合は、男女とも中学生で高く、それぞれ78パーセント、70パーセントとなった。男性の20〜30代・50〜60代、女性の10代(中学生除)〜30代では、性別の全体平均を下回った(表1)。

 また、2005年まで10パーセントであった「全く飲まない」人の割合は、2006年に14パーセントに増加し、2012年は16パーセントまで拡大した。

図1 白もの牛乳類の飲用頻度[時系列、単一回答(SA)]

表1 白もの牛乳類を飲む人の割合(性・年齢別)
<ほぼ毎日飲む人>「毎日飲む」「週に5〜6日飲む」の合計


2.白もの牛乳類の飲用量  〜1日当たりの平均飲用量は、全体的に引き続き微減〜

 2012年の白もの牛乳類の1日当たりの飲用量(注)は、全体としては微減傾向となった。性別では、男性はほぼ横ばい、女性は微減となった。性・年代別に見ると、男性は中学生・40代・60代で増加、女性では中学生・10代(中学生除く)・20代・30代で増加傾向となっている(図2)。

(注)1日当たりの飲用量…白もの牛乳類を飲むと回答した者の1日当たりの飲用量の合計を、総回答者数(非飲用者含む)で除して算出した、1人当たりの平均飲用量。
図2 白もの牛乳類の1日当たりの平均飲用量[性・年代別、年間平均、単一回答(SA)]

3.白もの牛乳類の飲み方 〜「全く飲まない人」が増加〜

 白もの牛乳類の飲み方は、「そのまま飲む」飲み方のうち「毎日飲む」人の割合は25パーセント、「他のものと混ぜて飲む」飲み方のうち「毎日飲む」人の割合は19パーセントとなった。過去3年間の飲み方別飲用頻度を見ると、「そのまま飲む」「他のものと混ぜて飲む」ともに平均回数に大きな変化はみられないものの、「全く飲まない」人の割合が増加しており、白もの牛乳類を飲む機会が減少していることがうかがえる(図3)。
図3 白もの牛乳類の飲用頻度[時系列、単一回答(SA)]

 また、夏場と冬場の飲用頻度を比べると、「そのまま飲む」飲み方は、「他のものと混ぜて飲む」飲み方より、季節による変動が大きいことがわかる。ただし、「毎日飲む」など習慣化された人の季節変動による影響は小さいようである(図4)。
図4 白もの牛乳類の飲用頻度[季節変動、単一回答(SA)]

表2 白もの牛乳類を他のものと混ぜて「毎日飲む」飲用者率(年間平均)

(男性計/女性計はそれぞれn=1600、それ以外はいずれもn=200)

4.白もの牛乳類の飲用シーン  〜トップは「朝食をとりながら (44%)」〜

 白もの牛乳類を飲むシーンで多いのは、「朝食をとりながら」「おやつや間食時」「のどが渇いた時」であり、特に「朝食をとりながら」は44パーセントと最も大きい(図5)。

 時系列比較では、大きな変化は見られず、飲用シーンの上位は前述の3項目で固定化されている。

5.白もの牛乳類の飲用理由
 〜「カルシウム・栄養・健康」に関するものが、上位を維持。「栄養があるから」は微増〜

 白もの牛乳類を飲む理由で最も多いのは「カルシウムがあるから」で、2番目に「栄養があるから」3番目に「健康によいから」が続いた。

 時系列比較でみると、2番目の「栄養があるから」は、わずかではあるが、年々ポイントが上昇した。また、「水などの代わりに」は、2010年から2012年にかけてポイントを落としている(図6)。
図5  白もの牛乳類の飲用シーン[複数回答(MA)]<飲用者ベース>

図6 白もの牛乳類を飲む理由 [複数回答(MA)] <飲用者ベース>

V.白もの牛乳類の飲用を阻害する要因

〜牛乳を飲まない理由は「牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる」「味にクセ」
  「におい」「飲用後、口に残る」等〜

 白もの牛乳類の飲用量が減少した、あるいはもともと飲まない理由では、「牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる(44%)」「牛乳は味にクセがある(40%)」「牛乳のにおいが嫌い(40%)」「牛乳は飲んだあと口に残る(37%)」の順となった。これら4つが、牛乳の飲用を阻害する大きな理由となっている。
図7 飲用量減少・非飲用理由[単一回答(SA)]<飲用量が減少した人/非飲用者ベース>

W.チーズの摂取実態と購入意識

1.チーズの食べ方と購入タイプ  〜週に1日以上食べる人は37パーセント〜

 チーズを「毎日」食べる人は3パーセントで、週に1日以上食べる人が37パーセントとなった(図8)。
図8 日頃チーズを食べる頻度[単一回答(SA)]

 調査時点を含む1カ月間にチーズを使った料理を食べた人は67パーセントであり、食べた人の回数は平均4.4回、食べた料理で最も多いのは「ピザ」(61%)だった(図9)。
図9 この1カ月に食べたチーズ料理[複数回答(MA)]

 ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いについて認知している人は、「知っている+何となく知っている」の計で46パーセントとなった(図10)。購入するチーズの種類は、ナチュラル派が23パーセント、プロセス派が49パーセント、半々が11パーセントとなった(図11)。チーズのタイプは、「スライスチーズ」65パーセント、「ブロックタイプ」46パーセント、「シュレッドチーズ」34パーセントの順となった(図12)。
図10 ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いの認知状況[単一回答(SA)]

図11 購入するチーズの種類<チーズ購入者ベース>

図12 購入するチーズのタイプ<チーズ購入者ベース>

2.チーズ購入の意識
 〜国産チーズ派は46パーセントを占める一方、産地を意識しない派も51パーセント〜

 チーズ購入時に意識することは、「国産のチーズを購入するようにしている」が46パーセント、「生産国は意識していない」が51パーセント、「外国産のチーズを購入するようにしている」が2パーセントとなった(図13)。
図13 チーズ購入時に意識すること[性・年代別、単一回答(SA)]<チーズ購入者ベース>

 そのうち、国産チーズを購入する際に意識することは、全体で「大手メーカーの製品を購入するようにしている」が67パーセントを占めた(図14)。
図14 国産チーズ購入で意識すること[単一回答(SA)]<国産チーズ購入者ベース>

X.調査の概要

1.調査方法

 留置併用訪問面接法により、本人が調査票に回答

2.調査対象

 全国の中学生以上の男女個人
 3200人(回収ベース)

3.調査地域とサンプル数

 回収サンプルの地域別内訳は下記の通り(沖縄除く)。構成比はウェイト集計後の値。

4.抽出方法


エリアサンプリング

*地点の抽出および調査対象者の抽出手順は以下の通り。

 平成22年国勢調査時の母集団人口に基づき、地域(9分類)と都市規模(5分類)により層化し、調査地点数を比例配分する。各層ごとに大字・町丁目の該当人口に応じて、調査地点を抽出する。各調査地点において、世帯(居住者のいる一般世帯住宅住戸)を系統抽出する。世帯から個人の抽出は、性・年齢別の割当に従って、訪問世帯において対象者条件に適合する個人を抽出した。

5.サンプル設計およびウェイト集計について

 消費動向調査では、2007年度まで、地域(9分類)・都市規模(5分類)および性・年齢別の人口構成を反映したサンプル設計を行なってきた。そのため、若年層においては、回収サンプル数が少なく、性・年齢別の分析を行なうには十分ではなかった。

 2008年度から、性・年齢の層別にも十分な分析を行なえるよう、性・年齢別に200サンプルずつを均等に割り当てるクォータ法により調査を実施している。

 本年度調査では、性・年齢別に200サンプルずつを均等に割り当てる方法を採用したため、回収サンプル構成は、母集団である平成22年度国勢調査人口を反映していない。そのため、サンプルごとに人口構成に応じたウェイト値を与えて集計し、サンプル構成を補正した。本報告書で記載しているサンプル数は実際に回収されたサンプル数であるが、構成比(%)はウェイト集計後の値である。

6.調査期間

 2012年10月1日〜10月26日

データを読む上での注意点

 この調査は消費者の視点にたちアンケートを実施している都合上、牛乳類の分類については、牛乳の他にも低脂肪乳、無脂肪乳、栄養成分強化牛乳(カルシウム、鉄分、ビタミンDなどを加えたもの)を白もの牛乳類としており、法律や規約上の種類別分類とは異なる。

 択一式選択肢(SA)の場合、回答率の合計が100.0%になるべきところで、そうならない箇所がある。これは各回答率を小数点以下第2位で四捨五入しているためである。

 「SA」の表記は単一回答、「MA」の表記は複数回答、「n」はサンプル数を示す。

 表示されているサンプル数は実際の回収サンプル数、構成比(%)はウェイト集計後の数値である。

 なお、図表および本文中の年度表記は西暦とした。


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 調査にご協力いただきました皆さまに深く感謝しますと共に、併せて御礼申し上げます。

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