主要生産州での導入頭数は大幅に減少
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が8月23日に公表した「Cattle on Feed」によると、フィードロット注の飼養頭数(2013年8月1日現在)は、前年同月比5.9パーセント減の1026万頭となり、減少傾向に歯止めがかからない状況にある(図1)。また、7月のフィードロット導入頭数も、同10.4パーセント減の172万2000頭となり、2013年5月以降、3カ月連続で前年を下回って推移している(図2)。減少要因の一つとして、特にメキシコからの生体輸入頭数の減少が挙げられる。メキシコでは、繁殖雌牛の減少による子牛生産頭数の不足に加え、肥育牛の飼養頭数が減少し、もと牛価格が上昇している。その結果、肥育もと牛頭数の不足および価格高などにより、7月のメキシコからの生体輸入頭数は、同51.1パーセント減の4万2000頭と、前月に引き続き大幅に落ち込んだ。主要生産州の7月のフィードロット導入頭数を見ると、コロラド州(同19.4%減)、カンザス州(同18.5%減)で前年を大幅に下回る結果となった。現在、生産者はフィードロットへの導入頭数を前年よりも減らす一方で、体重の重いもと牛を導入する傾向にあることから、今後も導入頭数は前年を下回って推移すると考えられる。
注:収容能力1,000頭以上規模が対象
図1 フィードロット飼養頭数の推移 |
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資料:USDA/NASS |
図2 フィードロット導入頭数の推移 |
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資料:USDA/NASS |
牛肉輸出量は2カ月連続前年を上回る
米国農務省経済局(USDA/ERS)によると、2013年6月の牛肉輸出量(子牛肉含む)は、前年同月比7.6パーセント増の8万7788トンとなり、2カ月連続で前年実績を上回った(図3)。増加の要因として、肉牛の主産地であるカンザス州、ネブラスカ州、コロラド州でのと畜頭数の増加により、牛肉生産量が前年を上回ったことや、日本向け輸出が好調であったことなどが挙げられる。輸出先別では、日本向けが3万4900トン(同62.1%増)、また、香港向けが1万3220トン(同2倍)と過去最高を記録したほか、メキシコ向けが1万6000トン(同34%増)、カナダ向けが2万1000トン(同5.7%増)と主要輸出先国の伸びが目立った。
しかし、USDAでは、飼養頭数の減少により国内生産量が落ち込むとみられることから、2013年の牛肉輸出量を前年比3.7パーセント減の107万トンと予測している。
図3 牛肉の輸出量の推移 |
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資料:USDA |
牛肉輸入量は5月以降、減少傾向
米国農務省経済局(USDA/ERS)によると、2013年6月の牛肉輸入量(子牛肉含む)は、前年同月比10.1パーセント減の8万7200トンとなり、2013年5月以降、減少に転じている(図4)。また、2013年1〜6月までの年間輸入量は前年同期比2.6パーセント減の55万3000トンとなった。1〜6月までの輸入量が減少した要因として、主要輸入国である豪州からの輸入量の減少が挙げられる。豪州では、牛肉生産量が増加しているものの、米国の主な輸入品目である挽き材向けが、中国や中東などからの引き合いが強まっていること、また、為替相場が豪ドルに対して米ドル安であったことなどが輸入減少につながったとみられている。カナダからの輸入についても、同国での牛肉生産量の減少により輸入量は落ち込んだ。一方、ニュージーランド(NZ)からの輸入については、2月から3月にかけて、NZ国内での干ばつによると畜頭数の急増により牛肉生産が増加したことで、2013年1月から6月までの輸入量は、前年同期比13.3パーセント増となった(図5)。
USDAでは、今後、第4四半期にかけて国内の牛肉生産量が落ち込むと予測しており、2013年の牛肉輸入量については、前年比7.4パーセント増の1080万トンと見込んでいる。
図4 牛肉輸入量の推移
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資料:USDA |
図5 牛肉輸入量の推移(米国の上位3カ国)
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資料:USDA |
(調査情報部 山神 尭基)
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