需給動向 海外

◆米 国◆

2013年度の豚肉生産量は微増も、輸出量は減少見込み


 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が8月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2013年の豚肉生産量は、前年比0.6パーセント増の1060万8000トンと見込んでいる(表2)。微増の要因として、豚肉需要は高いものの、高止まりを続けた飼料穀物価格に対し、現在の肥育豚相場では、生産者が繁殖母豚の増頭などに踏み込むことが困難な状況であることから、前年をわずかに上回る程度になるとしている。
表2 豚肉の生産量、輸入量および輸出量予測
資料:USDA/ERS
注 1:数量は枝肉重量ベースのもの。
注 2:*は速報値

豚肉生産者の収益性は依然、厳しい状況

 このような中、全米で最も豚の飼養頭数が多いアイオワ州の肥育豚の収益について、アイオワ州立大学は調査結果を公表した。これによると、2013年の1月から6月の1頭当たりの平均収益は、21.67ドル(2,145円:1米ドル=99円)の赤字と試算されており、上昇した飼料穀物価格が養豚経営に深刻な影響を与えたことが読み取れる。上半期の肥育豚価格は、例年より上昇したものの、飼料穀物価格の上昇幅が大きかったことが赤字の要因とみている。なお、同時期のトウモロコシの価格について、例年と比べて11.5パーセント高の1ブッシェル当たり7.01ドル(694円)、大豆かす価格は、同20.2パーセント高の1ショートトン(907.2キログラム)当たり449.00ドル(4万4451円)であったと試算している。

7月のと畜頭数は前年を上回る

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が8月22日公表した「Livestock Slaughter」によると、2013年上半期(1〜6月)の豚と畜頭数は、前年同期比0.2パーセント減の5465万1000頭となった。ただし、1日当たりのと畜頭数では、前年同期より2,000頭多い43万頭と算出されることから、依然、豚肉需要は高いとみられる。豚肉需要の増加に伴い上半期の肥育豚価格(100ポンド当たり)の平均価格は、前年同期比0.51ドル(50円)高い62.25ドル(6,163円)となった。

 USDAによると、豚肉需要の増加傾向により、2013年7月のと畜頭数は、前年同月比6.0パーセント増の908万200頭となった(図13)。
図13 と畜頭数の推移
資料:USDA/NASS
 と畜頭数を州別に見ると、豚の飼養頭数が多い主要な州でほとんど前年同月を上回った。特に、アイオワ州(前年同月比5.8%増の237万9000頭)、ノースカロライナ州(同4.5%増の90万5000頭)、ミネソタ州(同3.9%増の83万4000頭)イリノイ州(同7.9%増の87万3000頭)での伸びが目立った。

                                      (調査情報部 山ア 良人)

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