需給動向 海外

◆米 国◆

鶏肉生産量は増加傾向も、5月はわずかに下回る

◇絵でみる需給動向◇


処理羽数の減少により生産量は減少

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が7月17日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2013年5月の鶏肉生産量は、前年同月をわずかに下回る148万3000トンとなった(図6)。減少の要因として、ブロイラーの処理時生体重が1羽当たり2.64キログラム(前年同月比0.8%増)と、前年を上回ったものの、処理羽数が7億5700万羽と前年を4.3パーセント下回ったことが挙げられる。一方、2013年1月から5月までの鶏肉累計生産量は、処理羽数および1羽当たりの処理時生体重がともに前年をわずかに上回ったことから、前年同期比1.6パーセント増となった。USDAでは、今後、豊作見通しによる飼料穀物価格の下落により、1羽当たりの収益性が改善し、増羽に向かうと見込んでおり、2013年第3四半期の鶏肉生産量を436万6000トン(前年同期比2.7%増)と予測している。

図6 鶏肉生産量の推移

資料:USDA

増産により在庫積み増しも、2013年の期末在庫は減少予測

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月31日に公表した「Cold Storage」によると、2013年5月末時点の鶏肉の在庫量は、前年同月比5.9パーセント増の30万8000トンとなった。これは、2012年第4四半期から2013年第1四半期にかけて、鶏肉生産がおおむね増加傾向で推移したことによるものとしている。在庫量を部位別に見ると、丸鶏やもも肉(骨なし)などは前年水準を上回っており、特に手羽については、需要の減退により同120パーセント増となった。一方、むね肉やドラムスティックは、同3.1パーセント、同25.7パーセントとそれぞれ減少した。なお、USDAは、2013年の期末在庫見通しについて、今後、輸出需要および景気回復に伴い国内消費の増加が見込まれることから、前年比2.5パーセント減の29万トンと予測している。

 他方、丸どり卸売価格を見ると、牛肉や豚肉価格の上昇により、安価な鶏肉へと需要がシフトしていることから、2011年12月以降、高値で推移している(図7)。
図7 丸どり卸売価格の推移
資料:USDA
 一方、手羽価格は、5月に底値をうち、6月の平均価格は前年同月比23.9%安のキログラム当たり3.06ドル(303円:1米ドル=99円)となった。これは、昨年まではスポーツ観戦時のスナックとして手羽需要が増加し、価格高となっていたが、手羽の供給が増加する中で、割安なムネ肉に需要がシフトしたため、価格急落につながったとみられている。(図8)

図8 鶏肉部位別価格の推移
資料:USDA

メキシコ向けの増加がけん引し、輸出量は増加

 米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、2013年5月の米国産鶏肉の輸出量は、前年同月比4パーセント増の28万3000トンとなり、2011年11月から増加基調で推移している(図9)。主要輸出先であるメキシコ(前年同月比50%増)が大幅に増加したほか、中国(同28%増)、リトアニア(約6倍)およびアラブ首長国連邦(約2倍)など、主要輸出先以外の伸びが目立った。一方、これまで主要輸出先であったロシアは、3月以降、約40パーセント以上も減少し、5月のロシア向け輸出は同47.3パーセント減となった。
図9 鶏肉輸出量の推移
資料:USDA
 なお、中国は、米国のアーカンソー州で発生した鳥インフルエンザの影響により、7月29日に同州からの鶏肉輸入の禁止を発表した。この措置が継続された場合、今後、中国への輸出量はわずかに減少するものとみられている。

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)では、今後も輸出需要が増加すると見込んでおり、2013年の鶏肉総輸出量を対前年比2パーセント増の334万トンと予測している。

                                      (調査情報部 山神 尭基)



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