農林水産省は平成25年8月、24年度の食料需給表において飼料需給表(概算)を公表した。これによると、純国内産飼料自給率(カロリーベース)は、前年同の26パーセントとなった。このうち粗飼料自給率は、前年より1ポイント減の76パーセント、濃厚飼料自給率は、前年同の12パーセントとなった。長期的に見ると、飼料自給率は、昭和40年度は55パーセントであったものの、その後減少傾向で推移し、53年度に初めて30パーセントを割り、59年度以降20パーセント台で推移し、直近10年間は23〜26パーセントの範囲で推移している。なお、飼料自給率については、平成32年度までに38パーセント(粗飼料:100%、濃厚飼料:19%)に引き上げることが目標となっている。
24年度の飼料供給量(カロリーベース)は、全体で前年度比2.2パーセント減の2421万4000TDNトンと3年連続減少し、昨年度に続き2500万TDNトンを下回り、直近10年間で最も少なかった。長期的に見ると、昭和63年度(2873万2000TDNトン)をピークとして漸減傾向で推移しており、平成12年度以降は2400万〜2500万TDNトン台で推移している(図12)。
図12 飼料供給量及び自給率
|
|
資料:農林水産省「飼料需給表」
|
平成25年6月の飼料用トウモロコシ輸入量は、60万トンを下回る
財務省貿易統計によると、平成25年度(4〜6月)の飼料用トウモロコシ輸入量は、前年同期比21.0パーセント減の218万トンと、引き続き減少傾向で推移している。特に6月の輸入量は59万トンと60万トンを下回り、直近10年の月別輸入量で最小となった(図13)。トウモロコシの年度別輸入量は、18年度以降減少傾向で推移しており、国別輸入量を見ると、24年夏以降、米国の減少傾向が顕著になる一方、アルゼンチン、ブラジルなどを中心に輸入先が大きくシフトした。特にブラジルは、24年11月以降、米国を抜いて最大の輸入相手国となり、24年11月〜25年3月には月50万トンを輸入した。6月は、ブラジルからの輸入量が13万トンと大幅に減少したため、低水準の輸入につながった。輸入価格(CIF)については、24年9月から10カ月連続で上昇しており、円安等の影響により6月にはトン当たり34,225円と一段と上昇し、価格が高騰した20年以来の水準となっている(図14)。
図13 飼料原料月別輸入量
|
|
資料:財務省「貿易統計」 |
図14 飼料原料月別輸入価格(CIF)
|
|
資料:財務省「貿易統計」 |
また、大豆油かす輸入量は、23、24年度と2年続けて減少しているが、4〜6月を見ると、前年同期比28.2パーセント減の42万トンと引き続き減少傾向で推移している。輸入価格は、24年9月以降連続して上昇し、5月にはトン当たり61,183円と、価格が高騰した20年10月の最高値(60,306円)を上回る水準となった(図14)。国内配合飼料メーカーは、6月の配合飼料供給価格(25年7〜9月期分)公表において、配合飼料供給価格の引き上げ要因として大豆油かす高を挙げており、当面、大豆油かすは高水準の価格が見込まれる。
24年度は、米国における不作や円安などの影響により、主原料であるトウモロコシや大豆油かすから小麦などの安価な原料へのシフトや原料調達国の多様化といった大きな変動が見られた。25年度(4〜6月)も前年からの傾向が続いているが、今後は、米国におけるトウモロコシや大豆の新穀の生育、生産状況が明らかになるに従って、主原料の需給が変動するとみられる。
(調査情報部 井田 俊二)
|