需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

飲用牛乳向け乳価、4年半ぶりに引き上げ


◇絵でみる需給動向◇


 関東生乳販売農業協同組合連合会と大手乳業3社は7月3日、飲用向け生乳の買入価格について、10月1日出荷分からキログラム当たり5円引き上げることでほぼ合意した。これらの動きを受けて、他の都府県の指定団体および中小乳業においても、7月中に同内容でおおむね合意したとみられている。

 また、ホクレン農業協同組合連合会と大手・中堅乳業メーカーの間でも、飲用牛乳向け乳価を同5円、チーズ向け乳価を同1円引き上げることが7月10日に発表された。

 飲用牛乳向け乳価の引き上げは平成21年3月以来、4年半ぶりのことである。

円安による配合飼料の価格上昇

 今回の飲用牛乳向け乳価の値上げの背景には、生乳生産コストの大宗を占める配合飼料の価格上昇がある。農林水産省などによると、平成25年7〜9月期の配合飼料価格はトン当たり約6万7900円、補てん金を除いた生産者実質負担額も約6万2850円と、統計の始まった平成2年以降で最高値となった(図8)。その結果、25年度の都府県の推計生乳生産コストは、前年度比で6.2パーセント上昇している(一般社団法人Jミルク調べ)。

 こうした背景から各生産者団体は乳価を6〜7パーセント引き上げるよう要求を行ったが、乳業各社は小売価格上昇による需要減少を懸念したことから、今年度の乳価交渉は長期化した。
図8 配合飼料価格
資料:農林水産省「配合飼料価格高騰緊急対策の概要等」

乳価の引き上げと小売価格の動向

 生乳生産コストが上昇する一方、総合乳価の推移は平成21年度からほぼ横ばいであり、昨今の酪農経営は難しい状況に置かれている(図9)。また、牛乳の小売価格は長期的には下落傾向にあり、乳業メーカーにとっても厳しい市場環境が続いている(図10)。大手乳業各社は、「自社によるコスト削減努力によって吸収できない分については、価格改定を含めて検討する」としていたが、7月下旬には出荷価格を1〜4パーセント程度引き上げると発表した。
図9 総合乳価の推移(全国)
資料:農林水産省調べ
図10 牛乳の一世帯当たり購入数量と小売価格の推移
資料:総務省統計局「家計調査」「小売物価統計調査」
  注:小売価格は東京都区部、店頭売り、紙容器入り、1本1リットル

飲用牛乳の消費に影響も

 こうした中、中央酪農会議は8月7日、メディア向けの緊急説明会を開き、乳価引き上げの背景について説明を行うとともに、小売価格改定についての理解を求めた。平成21年3月に飲用牛乳向け乳価がキログラム当たり10円値上がりした際は、同月の牛乳1リットル当たりの平均購入価格(注)が188円から203円に上昇し、また、1世帯当たりの月間牛乳購入数量が前年同月を1割以上割り込んだ経緯がある。このため、今回の小売価格改定に当たっては、飲用牛乳の消費に影響を及ぼさないよう、昨今の酪農経営の厳しい状況に対する消費者への理解醸成が重要である。

注:総務省統計局「家計調査」を基に、農畜産業振興機構が算出。

                                      (畜産需給部 岡 久季)


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