2012/13年度の生乳生産量は、前年度比1.3パーセント減少
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2012/13年度(6月〜翌5月)の生乳生産量は、1947万8000トン(前年度比1.3%減)となった(図19)。年度前半は前年度を上回る水準で推移したが、2013年2月以降続いた干ばつの影響から、年度全体では前年度をわずかに下回った。近年、ニュージーランド(NZ)の生乳生産は増加傾向で推移しており、前年度実績を下回ったのは5年ぶりとなる。
2013/14年度の生乳生産見通しについて、生産環境は改善に向かっている模様である。NZ証券取引所の調査によると、2013年6、7月の牧草の生育状況は、南島を中心に前年に比べ良好であり、今後、生乳生産が本格化する8月以降についても、引き続き順調に生育が進む可能性が示されている。こうした状況は、最近の温暖な気候によるものであり、現地研究機関によると、7〜9月頃を通じて温暖な気候が続くとみられている。
図19 生乳生産量の推移 |
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資料:DCANZ調べ
注:年度は6月〜翌5月 |
2012/13年度の主要乳製品の輸出は、いずれも増加
2012/13年度(7月〜翌6月)の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が41万3000トン(前年度比18.5%増)、全粉乳は128万1000トン(同13.9%増)、バターは46万2000トン(同4.6%増)、チーズは31万1000トン(同13.0%増)と、いずれも前年度実績を上回った(図20)。このうち、粉乳類(脱脂粉乳、全粉乳)は中国が最大の輸出先となり、特に全粉乳は、2008年のNZ・中国FTA締結以降、育児用粉ミルク需要の伸びを背景に、輸出が大幅に増加している。また、チーズは、日本が最大の輸出先となり、3年連続で2割以上のシェアを維持している。
図20 乳製品輸出量の推移 |
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資料:Statistics NZ
注 1:年度は7月〜翌6月
注 2:2012/13年度は暫定値 |
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乳価の上昇などを背景に、生産者は楽観見通し
こうした中、NZ国内集乳量の約9割を占める最大手の乳業会社フォンテラ社は、2013/14年度(6月〜翌5月)の支払乳価の見込みについて、当初の価格から0.5NZドル引き上げ、乳固形分1キログラム当たり7.5NZドル(600円:1NZドル=80円)とした。同社によると、季節的に欧州などからの供給が限定的となり、国際的な乳製品価格を押し上げていること、また、為替が米ドルに対してNZドル安で推移していることなどを要因としている。
乳価や乳製品価格の上昇を背景に、酪農経営者は今後の経営動向について、楽観的な見通しをもっている。オランダの農業系金融機関であるラボバンクの調査によると、NZの酪農経営者の72パーセントは、今後、自らの経営が改善されると見込んでいる。また、41パーセントの酪農経営者は、自らの経営への投資を増加する意向であるなど、多くの酪農経営者が事業拡大の意欲を持っているとしている。
(調査情報部 根本 悠)
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