需給動向 国内

◆豚 肉◆

6月の豚肉輸入量、冷凍品の減少に伴い5万トン強の水準にまで低下


◇絵でみる需給動向◇


冷蔵品は増加するものの、冷凍品はかなり大きく減少

 国産豚肉相場が堅調に推移する中、豚肉輸入量の動向に注目が集まっている。平成25年6月の豚肉輸入量は、前年同月を6.3ポイント下回る5万2557トンとなった。内訳では、冷蔵品が同6.9パーセント増の2万2498トンとかなりの程度増加したものの、冷凍品が同14.3パーセント減の3万59トンとかなり大きく減少した。

 豚肉輸入量を月別に見ると、過去数年間(注)、冷蔵品が2万トン程度、冷凍品が4万5000トン程度、合計で6万5000トン程度の水準となっているが、6月は特に冷凍品について、この水準を大きく下回ったこととなる。

 冷蔵品については、5月は、冷凍豚肉の輸入量減少に伴う加工用部位(うで、もも)の代替需要として、単月ベースで2万6000トン台と記録的な水準となったものの、6月は例年並みの水準となった。

 一方、冷凍品については、24年度以降、輸入申告に係る審査・検査の充実化、円安傾向で推移している為替相場、穀物価格高騰に伴う輸出国の現地相場高などにより減少傾向で推移し、10月以降は3万トン台後半〜4万トン程度にまで減少した。25年度に入っても同傾向は継続、6月はさらに減少が強まり、前年同月比で5千トン、前月比では1万トン程度の減少となる、3万トン強の水準となった(表1)。

注:新しく認可されたワクチンにより事故率が低下し、豚肉生産量が増加、輸入量が減少
   した平成21年度を除く。
表1 豚肉輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」
  注:部分肉換算

輸入冷凍品仲間相場、大きく上昇

 豚肉輸入量が減少する中、輸入品仲間相場も上昇基調で推移している。当機構の輸入豚肉卸売価格(仲間相場)調査によると、6月の冷蔵品価格は、米国産「ロース」がキログラム当たり598円(前年同月比1.4%高)、米国産「ばら」が同636円(同7.8%高)の高値となった。

 また、冷凍品価格は、輸入量減少に伴う需給逼迫感を受けて高騰し、米国産「うで」が同522円(同21.4%高)、カナダ産「もも」が同544円(同17.7%高)と、いずれも約1年間にわたり前年同月を上回って推移している。さらに、前述の通関審査の充実化や現地相場高により、うで、ももなど加工向け部位が減少、ロースなど高級部位が増加していることも影響していると思われる(図4)。
図4 輸入豚肉の卸売価格(仲間相場)の推移

資料:農畜産業振興機構調べ
  注:消費税を含まない

輸入品仲間相場上昇に伴い、国産豚肉相場も上昇

 国産豚肉相場(省令価格)は、景気回復の期待感に伴う家計消費の増加、焼肉店など好調な外食産業の需要などを受け比較的高値で推移している。5月は、お中元用加工製品向けの需要期でありながら、原料となる冷凍品輸入量が低迷していたため、その代替需要が加わったことなどから、キログラム当たり517円(前月比50円高)と上昇した(農林水産省「食肉流通統計」)。6月は、例年相場が上昇する時期にもかかわらず一転して下落に転じた(同491円)が、この要因としては、5月の高値の反動、競合する輸入冷蔵品の5月の輸入量が多かったことなどが考えられる。7月は、6月の冷蔵品輸入量が例年並みの水準となったこと、加工用部位の代替需要、輸入仲間相場の高騰などから同524円と再び上昇に転じた(農林水産省「食肉卸売市場調査(日別)」)。

                                      (畜産需給部 藤原 琢也)


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