1.はじめに
国際酪農連盟日本国内委員会(JIDF)とIDFの共催で、ワールド デイリー サミット 2013が今年10月28日(月)〜11月1日(金)の5日間にわたり、パシフィコ横浜および横浜ベイホテル東急(共に、横浜市西区みなとみらい)で開催する。後援は厚生労働省、農林水産省、独立行政法人農畜産業振興機構、ならびに横浜市となっており、開催を間近に控えその準備がほぼ整いつつある。すでに本サミットのホームページ(図1)が日本語と英語で開設されており、また2nd Announcement(図2)も作製され、全世界の関係者に配布されている。
図1 World Dairy Summit 2013のトップページ(http://www.wds2013.com) |
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図2 2nd Announcement の表紙 |
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本サミットでは、世界中から関係者が横浜に集い、現在わが国を含め世界各国の酪農・乳業が広く人類の生存のために積極的に関わっていることの認識に立脚し、食料需給、飼料、環境、エネルギー、家畜の疾病予防と家畜福祉などの諸問題について議論し、成果を発表することの意義は極めて大きい。
本サミットでは牛乳乳製品の価値、特に栄養価値、および食育などの酪農乳業の社会的価値などを再認識してもらうことを目指して、テーマを「牛乳の再認識−母なる大地からの贈り物−」(Rediscovering Milk)にした。このテーマに基づき、下記に示した10の特別講演会の概要が決められ、講演者が決定されている。
2.プログラム スナップショット
サミット全体のプログラムは次の通りである。
表1 サミット全体のプログラム |
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上記の他、メーカーを中心とした展示ブースが設置され、また開会式、ガラ晩餐会などでさまざまなアトラクションが予定されている。
3.特別講演会の概要
10の特別講演会の概要は次の通りである。
1)ワールド デイリー リーダーズ フォーラム(10月29日)
アジア、欧米、オセアニアの世界の酪農乳業のトップリーダー7人が、各国各地域における牛乳・乳製品の生産や流通等に関わる戦略的ビジョンについて語る。全プログラムの中でもハイライトの一つである。日本からは明治ホールディングス株式会社の浅野茂太郎代表取締役社長(一般社団法人Jミルク会長)が講演する。
2)酪農政策・経済特別講演会(10月29、30日)
ここでは、酪農の価値や役割を再発見し、経営、環境、雇用、地域社会、栄養、食文化、ライフスタイルなどさまざまな面から持続的な酪農のあり方を探る。3つのセッション((1)世界の酪農と政策の動向、(2)欧米とは異なる背景をもつ酪農地域における牛乳乳製品市場および酪農乳業の発展と将来の展望、(3)酪農の役割と価値再発見の取組み)において、計21題(うち日本人講演者4名)の講演がある。
3)酪農科学・乳業技術特別講演会(10月30日)
ここでは、「乳の価値の再発見」に沿った内容として、乳製品の価値(生物機能、おいしさ)を取り上げ、今後の乳製品のさらなる需要拡大を目指す。3つのセッション((1)生物機能:価値の再発見と重要性、(2)おいしさ:科学的で新規な評価解析技術、(3)製造加工技術と商品開発への応用)において、計15題(うち日本人講演者6名)の講演がある。
4)子供とミルク特別講演会(10月30日)
ここでは、子供の栄養・健康面や学校教育に対し、酪農・乳業がどのように寄与できるか、過去・現在の研究・調査結果から将来のあり方を考える。3つのセッション((1)子供の栄養とミルク−子供に牛乳を与える科学的根拠、(2)世界の学乳施策の紹介と展望、(3)栄養以外の効果−学校における乳と酪農の価値再発見)において、計14題(うち日本人講演者4名)の講演がある。
5)家畜の健康・福祉特別講演会(10月31日)
ここでは、2つのセッション((1)酪農における重要な感染症の現状と対策、(2)酪農における家畜福祉の進展)において、計10題(うち日本人講演者5名)の講演がある。セッション1では重要な感染症を中心に、特に対策に重きを置き、最新の成果につき論議する。セッション2では酪農における家畜福祉に関する内外の取り組み・進展を概説する。
6)農場管理特別講演会(10月31日)
ここでは、2つのセッション((1)未来に向かっての酪農家の挑戦、(2)酪農からの温室効果ガス(GHG)発生の抑制)において、計9題(うち日本人3名)の講演がある。セッション1では最新の情報を紹介・論議し、セッション2では牛の第一胃からのメタンの発生抑制について論議する。
7)栄養・健康特別講演会(10月31日、11月1日)
ここでは、乳摂取の最も明確な利点である、人の栄養と健康に及ぼす効果に焦点を当てる。
この講演会では、二日間にわたり次の4つのセッション((1)メタボリックシンドロームにおける乳製品の利点、(2)腸の健康と腸内細菌に及ぼす乳製品の影響、(3)乳と健康に関する将来の方向、(4)高齢期の栄養におけるタンパク質の重要性と牛乳乳製品の果し得る役割)において、計30題(うち日本人講演者14名)の講演がある。セッション4は「牛乳乳製品健康科学会議(乳の学術連合)」との共催で行う。
8)マーケティング特別講演会(10月31日)
ここでは、サミットテーマ「牛乳の再認識」に即して、酪農乳業にとって市場が求めている商品を導入するためにどのような革新的な試みを行っているか、などに焦点を当てる。
この講演会では、3つのセッション((1)IMP国際販促賞候補の発表、(2)コミュニケーションの革新的事例、(3)新しいコミュニケーションのカタチ(乳の価値を伝える新しいマーケティング))において、計16題(うち日本人講演者3名)の講演がある。
9)環境特別講演会(11月1日)
ここでは、2つのセッション((1)環境フットプリント、(2)排せつ物・廃棄物の処理と利用)において計13題(うち日本人4名)の講演がある。セッション1ではカーボン、ウォーター等の環境フットプリントに関して、海外・日本の事例研究を紹介する。
10)食品安全特別講演会(11月1日)
ここでは、メインテーマを「総合サプライチェーンアプローチによる酪農製品のリスクマネジメント」とし、2題の基調講演および3つのセッション((1)生乳生産におけるリスクマネジメントの実践的アプローチ、(2)サプライチェーンにおける微生物ハザードを対象としたリスクマネジメントの実践的アプローチ、(3)サプライチェーンにおける化学汚染物質を対象としたリスクマネジメントの実践的アプローチ)において、計15題(うち日本人6名)の講演がある。
4.おわりに
今回のサミットは、多くの酪農関係者にも参加いただけるよう、それに即したプログラムをつくり、行事(酪農家が集う会食)も企画した。真に実り多きサミットにするためには、できる限り多くの国内外の酪農および乳業関係者の参加が不可欠である。皆様のご参加を頂きたく、2回に分けてサミットをご案内した次第である。
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