飼養頭数は2011年以降、横ばいで推移
カナダ統計局(Statistics Canada)が公表する牛の飼養動向調査によると、2014年1月1日時点の総飼養頭数は、前年比0.7%減の1221万5000頭となり、事前の予測を下回る結果となった(図4)。当初の見込みでは、米国での肉牛飼養頭数減少に伴う生体牛需要の増加や飼料穀物価格の低下により肉牛生産者の増頭意欲が増すことで、2013年下半期を中心に飼養頭数が増加するとしていた。しかし、同年の米国向け生体牛輸出が高い水準で推移したことから、牛飼養頭数は関係者の予測に反して前年並みの水準となった。カナダでの牛飼養頭数は、同国で2003年に発生したBSE(牛海綿状脳症)の影響などにより、2005年の1492万5000頭をピークに減少に転じていたが、米国への生体牛輸出の増加などを背景に、2011年以降横ばいで推移している。
図4 牛飼養頭数の推移
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資料:Statistics Canada
注:各年1月1日時点
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肉用繁殖雌牛の増加で、飼養頭数増加に期待
飼養頭数を区分別に見ると、ほとんどの種類で、前年をわずかに下回っているが、肉用繁殖後継牛は前年比0.1%増の54万2000頭とわずかに増加した(表1)。これは、米国の肉牛飼養頭数減少によりもと牛価格が高騰し、カナダからの生体牛輸出が増加していることが背景にある。トウモロコシなどの飼料穀物価格が安いことで、肉牛生産者は引き続き増頭意欲をみせており、これが肉用繁殖後継牛の増頭につながったとみられている。米国からの需要は引き続き強まっており、今後の飼養頭数増加が期待されている。
アルバータ州とサスカチュワン州で飼養頭数全体の過半を占める
飼養頭数を州別に見ると、最も多い州はアルバータ州で前年比0.5%増の508万5000頭となった(表2)。このうち、主にフィードロットに仕向けられる去勢牛が約6割を占めている。飼料価格の下落により、フィードロットへの導入頭数が増加していることが飼養頭数増加の要因とみられている。第2位はサスカチュワン州で、同3.0%減の241万5000頭となった。
アルバータ州とサスカチュワン州の両州でカナダの飼養頭数全体の61.3%を占めている。両州は主要穀物生産地帯であり、飼料穀物生産は同国の牛飼養頭数の動向にも大きく寄与してくる。このような中、2014年も飼料穀物生産は豊作が見込まれ、飼料価格は引き続き低水準で推移するとみられることから、飼養頭数は今後、増加するものと推測されている。
表1 部門別飼養頭数の推移
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資料:Statistics Canada
注:各年1月1日時点
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表2 州別飼養頭数の推移 |
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資料:Statistics Canada
注1:各年1月1日時点
注2:アトランティック地域は、ニュー・ブランズウィック州、ニューファンドランド・ラブラドール州、
ノバスコシア州、プリンスエドワードアイランド州の合計 |
(調査情報部 山ア 良人)
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