需給動向 国内

◆牛 肉◆

肉用牛の飼養戸数、飼養頭数共に減少続く


 農林水産省が平成26年7月1日に公表した「畜産統計」によると、同年2月1日現在の肉用牛飼養戸数は、昭和32年の調査開始以降、57年連続での減少となる5万7500戸(前年比6.2%減)となった。前年と比較すると3800戸減少し、4年連続で6%台と、高い減少率が続いている(図1)。これは、生産者の高齢化や後継者不足などの長期的な影響に加え、飼料をはじめとする生産コストの増大、平成22年に発生した口蹄疫などの影響に伴う廃業によるものとみられる。飼養戸数を飼養規模別に見ると、50〜99頭の階層を除く全ての階層で前年を下回った。飼養頭数規模が100頭以上の階層(同1.8%減)と49頭未満の階層(同6.9%減)はそれぞれ減少しているものの、前者に比べて後者の減少率が大きいことから、特に小規模生産者の廃業が進行していることが見て取れる。

 肉用牛飼養頭数は、22年以降、減少傾向が継続しており、前年から7万5000頭減の256万7000頭(同2.8%減)となった(表1)。品種別に内訳を見ると、肉用種は171万6000頭(同3.0%減)、乳用種は85万1400頭(同2.5%減)といずれも減少している。乳用種のうちホルスタイン種他は36万7500頭(同2.1%減)と、生乳生産増産計画下においても飼養頭数は伸び悩んでいることがうかがえる。一方、交雑種は平成24年に増加に転じたものの、平成26年は48万3900頭(同2.8%減)と、2年連続での減少となった。

 また、肉用牛の1戸当たり飼養頭数は、前年と比較して1.5頭増の44.6頭と、増加傾向が継続している(図1)。これは、前述のとおり、小規模生産者を中心とした廃業に伴い、生産基盤が集約化しているためとみられる。
図1 肉用牛の飼養戸数・1戸当たり飼養頭数の推移
資料:農林水産省「畜産統計」
  注:数値は各年2月1日現在
表1 肉用牛の種別飼養頭数
資料:農林水産省「畜産統計」
注1:数値は各年2月1日現在
注2:( )内の数字は対前年増減率を示す。

肉用種子取り用めす牛、60万頭割れ

 子牛取引価格は、24年秋以降、上昇傾向が続いており、今年に入っても依然として高水準で推移している。こうした中、肉用種の子取り用めす牛の飼養頭数は、前年から2万3200頭減の59万5200頭(前年比3.8%減)と、4年連続の減少となった。減少率は3年連続で3%台後半となっている。地域別に見ると、近畿は1万8700頭(同0.5%増)、四国は6480頭(同0.6%増)と、それぞれ前年をわずかに上回ったものの、主産地においては、北海道は7万1600頭(同2.8%減)、東北は10万1100頭(同5.2%減)、九州は28万1500頭(同3.0%減)と、いずれの地域においても減少した(表2)。

 以上のように、肉用牛の繁殖基盤の縮小が進んでおり、依然として厳しい状況にある。
表2 肉用種の子取り用めす牛飼養頭数
資料:農林水産省「畜産統計」
注1:数値は各年2月1日現在
注2:( )内の数字は対前年増減率を示す。
(畜産需給部 山口 真功)

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