需給動向 海外

◆米 国◆

肥育もと牛価格は、過去最高値を更新


フィードロット導入頭数は前年同月を下回って推移

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月20日に公表した「Cattle on Feed」によると、2014年5月のフィードロット(注)導入頭数は、前年同月比7%減の191万2000頭となった(図1)。減少の要因として、主に2011年、2012年に発生した干ばつの影響で繁殖雌牛頭数が減少し、これにより肥育もと牛の供給が落ち込んだことが挙げられる。重量別の導入頭数を見ると、600-699ポンド(270〜315キログラム)が同6%減、700-799ポンド(315〜360キログラム)が同14%減、800ポンド(360キログラム)以上が同11%減といずれも減少している中、600ポンド(270キログラム)以下が同10%増となった。飼料価格の下落により、価格が安く、長期間肥育できる比較的軽量な肥育もと牛の導入意欲が高まっているものとみられている。

(注)収容能力1000頭以上規模が対象

 また、6月1日時点のフィードロットの飼養頭数は、前年同月比2%減の1059万4000頭となり、2012年9月以降前年同月を下回って推移している。主要肉牛生産州では、ネブラスカ州(前年同月比3%増)は増加しているものの、依然として、干ばつの影響が残るテキサス州(同3%減)、カンザス州(同2%減)では減少している。

図1 フィードロット導入頭数の推移
資料:USDA

肥育もと牛価格は2013年5月以降上昇が続く

 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、6月の肥育もと牛価格(600-650ポンド)は、前年同月比51%高の100ポンド当たり222ドル(1キログラム当たり約505円)と過去最高値を更新した(図2)。USDA/ERSでは、2014年の肥育もと牛価格について、供給の落ち込みを背景に、第3四半期には下落に転じるものの、引き続き高値で推移するものと見込んでいる。
図2 肥育もと牛価格の推移
資料:USDA

生体牛の輸入は前年をやや上回る

 USDA/ERSによると、2014年1〜4月の生体牛輸入頭数は、前年同期比5%増の84万6943頭となり、3カ月連続で前年を上回った。国別では、カナダが同12%増の46万2868頭と増加が目立った(図3)。増加の要因として、カナダの生体牛価格が米国産よりも安価であることに加え、カナダドルが米ドルに対して安い為替で推移していることが挙げられる。USDAは、今後も同国からの生体牛輸入が増加すると見ており、2014年通年では、前年比1%増の205万頭、2015年は同2%増の210万頭に達すると見込んでいる。
図3 カナダからの生体牛輸入頭数の推移
資料:USDA
(調査情報部 渡邊 陽介)


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