需給動向 海外

◆ブラジル◆

2013年の豚肉輸出量、前年比11.1%減


ウクライナ向けが半減

 ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2013年の豚肉輸出量(調製品を含む)は、前年比11.1%減の50万3049トンとなった(表4)。これは、同年3月、2012年の最大の輸出先であったウクライナ向けに輸出された豚肉からリステリア菌が検出されたことで、第2四半期(4〜6月)にウクライナがブラジル産豚肉の禁輸措置を講じ、同国向けが前年比50.8%減の6万8184トンと大幅に減少したことによる。一方、2012年にウクライナに次ぐ輸出先であったロシア向けは13万4891トン(同6.2%増)を記録し、2013年の最大の輸出先となった。ロシアは、2013年に飼料添加物のラクトパミンを使用した食肉の輸入を停止したため、これを使用していないブラジル産豚肉への需要が拡大したものとみられる。
表4 2012および2013年の豚肉輸出内訳
資料:SECEX
HSコード:0203、020630、020649、02090011、021019、05040013

2014年1〜3月の輸出量、前年同期比7.6%減

 次に、2014年1〜3月の状況をみると、同期の豚肉輸出量(調製品を含む)は前年同期比7.6%減の10万8025トンとなった(表5)。主要輸出先であるウクライナ向けは、同国の政情不安により1698トンと前年の10分の1以下となった。一方、最大の輸出先であるロシア向けは、3万3975トン(同6.2%増)、次いで香港向けは2万8053トン(同8.9%増)といずれも増加した。ロシアは、今年に入ってEUでのアフリカ豚コレラ(ASF)の発生を受けてEU産豚肉の輸入を禁止しており、新たな調達先を確保すべく、ブラジルの食肉施設10施設に新たに輸出許可を与えたほか、今後さらに認定施設を追加して、同国産豚肉の輸入を増やす見込みとしている。また、香港向けは、香港ドルに対するレアル安を受けて輸出価格が下落したため、増加したとみられる。

 日本向けは、2013年5月に解禁(口蹄疫ワクチン非接種清浄地域のサンタカタリーナ州産豚肉に限る)され、7月に初めて輸出されたが、2014年に入っても一月当たり100トン未満にとどまっている。この背景には、日本がメキシコやチリといったFTA(Free Trade Agreement)締結国から優先的に輸入していることが挙げられるが、価格条件が整えば、今後、日本からの需要が高まる可能性もある。
表5 第1四半期の豚肉輸出内訳
資料:SECEX
HSコード:0203、020630、020649、02090011、021019、05040013

2014年1〜3月のと畜頭数、生産量ともに前年同期比微減

 ブラジル地理統計院(IBGE)によると、輸出需要の低迷により、2014年1〜3月の豚と畜頭数は、前年同期比1.4%減の868万7000頭、豚肉生産量は同0.5%減の74万7632トンとなった(図13、14)。

 また、同期間の国内の豚肉消費量(注)は同0.2%減の64万2775トンとなった。これは、同国でインフレによる食料品価格の上昇などから、安価な鶏肉に需要の一部がシフトしたためとみられている。

(注) 在庫量が不明であるため、国内消費量=生産量+輸入量−輸出量で算出

図13 四半期別豚と畜頭数の推移

資料:IBGE
図14 四半期別豚肉生産量の推移
資料:IBGE
  注:生産量は枝肉ベース
(調査情報部 米元 健太)

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