需給動向 国内

◆牛 肉◆

平成26年度上半期の牛肉需給、
生産量・輸入量は減少、出回り量は増加


 平成26年度上半期(4月〜9月)の牛肉需給動向は、生産量・輸入量は共にわずかに減少した。この結果、供給量は減少したものの、出回り量はわずかに増加し、期末在庫は、わずかに減少した。

生産量、和牛・乳用種減少も、交雑種は増加続く

 生産量は、17万2355トン(前年同期比0.6%減)と、前年同期をわずかに下回った(図1)。品種別では、和牛が7万7938トン(同1.1%減)、乳用種が5万2714トン(同2.8%減)、交雑種は3万9581トン(同4.1%増)となった。和牛は繁殖農家の全国的な離農や大規模経営者の倒産の影響などにより、生産量は減少傾向で推移している。また、乳用種については23年以降は、生乳生産増産計画が策定されているものの、出生頭数が伸び悩んでいることから、生産量は減少傾向で推移している。一方、交雑種については、依然として増加傾向が継続している。これは23年度上半期の乳用牛への黒毛和種交配率が低下せず、26年度上半期の生産量に影響する時期の出生頭数が前年を上回って推移していたためと考えられる。

図1 牛肉の生産量、輸入量および推定期末在庫量の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ
注1:部分肉ベース
  2:輸入量には煮沸肉並びにくず肉のうちほほ肉及び頭肉のみ含む

輸入量、米国産は減少、豪州産は増加

 輸入量は、28万8764トン(同2.4%減)と、現地相場高や為替の円安傾向を背景に、前年同期をわずかに下回った(図1)。内訳を見ると、冷蔵品は11万6375トン(同2.6%増)と前年同期をわずかに上回ったのに対し、冷凍品は、17万1859トンと(同5.5%減)とやや下回った。この要因として、一部の需要者で冷凍品から冷蔵品への切り替えが行われたことがあるとみられる。国別に見ると、豪州産が15万6485トン(同6.2%増)とかなりの程度増加した一方、米国産が10万3920トン(同8.3%減)とかなりの程度減少した。豪州・米国共に現地相場高が続いている中で、比較的安価な豪州産へ需要がシフトしているものと推測される。

推定出回り量、国産品は減少、輸入品は増加

 推定出回り量は43万8021トン(同3.3%増)となり、このうち国産品は17万968トン(同0.4%増)、輸入品は26万7053トン(同5.2%増)であった。国産品については消費増税に加え、国産枝肉相場高が続いていることから、量販店などでは販売量が伸び悩んだとみられ、わずかな増加にとどまった。一方、輸入品については、輸入牛肉が多く消費される外食産業の需要が比較的堅調であったことなどから、前年同期をやや上回った。

9月末の推定期末在庫量、13万トンに迫る高水準

 9月末の推定期末在庫量は、12万9684トン(同0.5%減)と前年同月をわずかに下回るものの、13万トン台に迫る高水準となっている。例年、上半期の牛肉在庫は、年末の最需要期に向けて積み増す傾向にあり、今年においても同様の傾向が見られた。

頭数不足が国産卸売相場を引き続き下支え

 上半期の牛枝肉卸売価格は、6月頃にやや弱含んだものの、国内生産量の減少による不足感や景気回復基調などから、おおむね前年を上回って推移してきた。下半期に入ってもこの傾向は継続しており、東京市場における10月の同価格(速報値)は去勢和牛A−4がキログラム当たり2090円(前年同月比7.3%高)、交雑種去勢牛B−3が同1387円(同6.9%高)、乳用種去勢牛B−2が同825円(同4.7%高)と、いずれも上昇基調が継続している(図2)。

図2 牛枝肉卸売価格(東京市場)の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」
注1:消費税を含む
  2:26年10月は速報値
(畜産需給部 山口 真功)

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