需給動向 海外

◆N Z◆

2年連続の干ばつを反映し、2013/14年度の
牛肉輸出量は過去2番目の高水準


雌牛と畜頭数、干ばつと酪農部門の拡大を反映して増加

 ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2013/14年度(10月〜翌9月)の輸出向け牛と畜頭数は226万8000頭(前年度比1.5%増)となり、干ばつにより高水準となった前年度に引き続き増加した(図7)。

 このうち、経産牛は92万5000頭(同0.8%増)と、過去最高となった前年度をさらに上回り、未経産牛も35万8000頭(同6.4%増)と増加した。いずれも、肉牛主産地の北島北部における2年連続の干ばつによる出荷増と、近年、増頭が進んでいる酪農部門からの出荷増が、と畜頭数増加の要因となった。一方、肉用経産牛の減少に伴う肉牛部門の縮小を反映し、去勢牛は54万3000頭(同1.8%減)と減少した。

図7 輸出向け牛と畜頭数の推移
資料:Statistics NZ
注1:子牛を除く
  2:年度は10月〜翌9月

牛肉輸出は米国向けと中国向けがけん引

 ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)によると、2013/14年度の牛肉輸出量(子牛肉を除く)は、と畜頭数の増加を反映し、過去2番目の水準となる35万9625トン(前年度比4.8%増)となった(図8)。また、米国や中国などの堅調な需要から輸出単価(FOB)が上昇し、総輸出額(FOB)は、21億7200NZドル(1910億円:1NZドル=88円、同7.5%増)となった(図9)。

 輸出量を国別で見ると、最大の輸出先は米国向けで18万1283トン(同8.4%増)、次いで中国向けが3万5552トン(同7.1%増)となった(図10)。米国は、国内の牛肉生産の減少に伴う牛肉価格の上昇、中国は、国内の牛肉生産を上回る消費の伸びから、いずれもNZ産などへの引合いを強めている。一方、日本向けは2万4068トン(同17.2%減)、韓国向けは2万2601トン(同4.1%減)と減少した。これについて、BLNZは、日本および韓国市場で、米国や豪州など他国産との競合が強まったためとしている。また、米国や中国など需要の旺盛な市場へ優先的に仕向けられたことも減少要因の一つになったとみられる。

図8 牛肉輸出量の推移
資料:BLNZ
注1:子牛肉を除く、船積重量ベース
  2:年度は10月〜翌9月
図9 牛肉輸出額および輸出単価の推移
資料:BLNZ
注1:子牛肉を除く、FOB価格
  2:年度は10月〜翌9月
図10 主要輸出先別牛肉輸出量の推移
資料:BLNZ
注1:子牛肉を除く、船積重量ベース
  2:年度は10月〜翌9月

2014/15年度はと畜頭数、牛肉輸出量ともに減少の見込み

 2014/15年度の牛と畜頭数についてBLNZは、前年度から10万頭程度の減少を見込んでいる。特に、今年度の天候が安定していることで、2年連続の干ばつが緩和され、経産牛の保留が進むとみられ、経産牛は7万頭の減少を見込んでいる。ただし、今後の気象条件や乳価の状況次第では、経産牛のと畜が増加する可能性も示唆している。

 一方、牛肉の輸出については、と畜頭数の減少に伴い、数量は減少が見込まれるが、国際的な牛肉価格が高水準で推移するとの予測から、牛肉輸出額は増加基調とみている。

 また、肉牛生産者の経営状況について、これまでのところ天候に恵まれていることや、輸出単価の上昇、主要通貨に対しNZドル安での推移が予想される為替相場などにより、収益は改善するとしている。

(調査情報部 伊藤 久美)


元のページに戻る