需給動向 海外

◆米 国◆

鶏肉生産量は引き続き好調を維持する見込み


平均処理生体重の増加が、鶏肉生産量を下支え

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が10月23日に公表した「Poultry Slaughter」によると、2014年第3四半期(7月〜9月)の鶏肉生産量は446万トン(前年同期比1.5%増)となり、2012年第4四半期以降、前年を上回って推移している(図15)。この増加理由について、飼料となるトウモロコシ価格が下落していることで、1羽当たりの飼料給与量が増加していることによるが、特に2013年終盤からは平均処理生体重が前年を上回って推移している(図16)。また、旺盛な需要を反映して卸売価格が堅調であることから、飼養羽数も落ち込みが見られず、2014年第3四半期のブロイラーの処理羽数は、218万5000羽と前年同期並みに増加したことも要因とみられている。

 今後の鶏肉生産量についてUSDAは、ブロイラーの卸売価格が引き続き堅調に推移する中、トウモロコシ価格が安値で推移することにより、生産者の増産意欲が高まると見込んでいる。このため、2014年の第4四半期は440万トン(同1.7%増)、2015年は1794万4000トン(前年比2.9%増)と3年連続で増産と見込んでいる。

図15 鶏肉生産量の推移
資料:USDA/NASS、USDA/ERS
  注:2014年第4四半期は予測値。
図16 処理羽数と平均処理生体重の推移
資料:USDA/NASS、USDA/ERS

増産意欲の高まりがひな導入羽数に表れる

 USDA/NASSが毎週公表している「Broiler Hatchery」によると、ブロイラー用ひなの導入羽数は8月上旬から前年を上回って推移し、10月第1週〜第4週(10月4日〜10月25日)では、6億7500万羽(前年同期比3.0%増)となった(図17)。堅調なブロイラー価格と飼料となるトウモロコシ価格の安値を背景に、鶏肉の増産意欲が高まっているものとみられている。USDAでは、導入羽数は今後も高水準で推移し、2015年の生産量増加に寄与するとしている。

図17 週別ブロイラー用ひなの導入羽数の推移
資料:USDA/NASS
注1:暫定値。
  2:2014年の週間の導入羽数。
  3:日付は各週の締め日。

ブロイラーの卸売価格は高値で推移

 米国農務省農業経済調査局(USDA/ERS)が10月28日に公表した「Wholesale Prices」によると、2014年10月のブロイラーの卸売価格は1ポンド当たり107.4セント(1キログラム当たり約261円:前年同月比19.3%高)となった。この要因として、高値で推移している牛肉や豚肉よりも比較的安価な鶏肉への需要が増していることで、レッグクオーター(半身のブロイラーをさらに4分の1にカットしたもの。)や手羽を中心に在庫量が低水準となっていることが挙げられる。

 また、米国農務省農業市場流通局(USDA/AMS)が公表している「Broiler Market News Report」によると、9月のむね肉の卸売価格は1ポンド当たり217.8セント(同約530円:前年同月比9.4%高)、手羽は同149.0セント(同約363円:同2.8%高)と前年を上回って推移している(図18)。一方、多くの在庫を抱えるもも肉は、同148セント(同約360円:同3.8%安)と前年を下回る価格が続いている。

図18 卸売価格の推移
資料:USDA/AMS
(調査情報部 渡邊 陽介)

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