需給動向 国内

◆豚 肉◆

平成26年度上半期の豚肉需給、
生産量はやや減少、輸入量は大幅に増加


 平成26年度上半期(4月〜9月)の豚肉需給動向は、生産量はやや減少したが、輸入量は冷凍品の増加に伴い大幅に増加した。この結果、供給量は増加したものの、出回り量はわずかに減少し、輸入品が約9割を占める期末在庫量は、大幅に増加した(図3)。

昨年夏の猛暑の影響などにより、生産量はやや減少

 生産量は、昨年夏の猛暑による受胎不良の影響などにより、6月および9月を除いて前年同月を下回り、上半期計では42万6980トン(前年同期比3.0%減)と、やや減少した。

輸入量、冷蔵品は現地相場から減少、冷凍品はEU産などが増加

 輸入量は、一定の需要が定着し、恒常的に輸入されている冷蔵品は、冷凍品の輸入減少に伴う代替需要もあり、増加傾向で推移していたが、上半期は主要産地である北米の現地相場高、為替相場の円安傾向などに伴い伸び悩み、14万4330トン(同2.9%減)とわずかに減少した。

 一方で、24年の輸入申告に係る審査・検査の充実化以降、減少傾向にあった冷凍品は、冷蔵品の現地相場高により、冷蔵品からEU産を中心とした冷凍品へのシフトが見られ、28万8673トン(同32.3%増)と大幅に増加した。

 この結果、輸入品全体では、43万3015トン(同18.0%増)と大幅に増加した。

推定出回り量はわずかに減少、推定期末在庫は大幅に増加

 消費は、外食産業などは好調を維持したものの、家計消費量は前年同月を下回って推移したことから、推定出回り量は80万9798トン(同1.1%減)とわずかに減少し、9月末時点の期末在庫量は、21万2290トン(同30.5%増)と、前年同月から約5万トン増加した。

図3 豚肉の生産量、輸入量および推定期末在庫量の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ

豚枝肉卸売価格は例年を上回って推移

 豚枝肉卸売価格(省令価格)は、例年を上回る高値で推移した(図4)。4月に1キログラム当たり590円と高値で始まった同価格は、6月には同665円まで上昇した。その後は例年どおり季節性に準じた動きを見せ、低下傾向で推移しているものの、9月も同553円の高水準となった。26年4月の消費増税の影響を差し引いても高水準にあるといえる。

 この背景には、国産豚肉と競合関係にある輸入冷蔵品の現地相場上昇がある。特に米国では、牛肉の相場高から豚肉需要が強くなっていることに加え、豚流行性下痢(PED)の感染拡大により供給が減少していることから、現地相場の上昇に拍車がかかった。さらに、4月頃に日本国内においてもPEDの感染が拡大したこともあり、今後の豚肉生産量に対するひっ迫感や、国産品のみならず輸入品まで含めた豚肉相場に先高感を抱いた購買者が、競って手当てした結果、例年にない高値となったものと思われる。

 また、例年であれば気温の低下に伴い生産量が回復し、卸売価格が低下する10月においても、同531円と依然として例年を上回って推移している。

図4 豚枝肉卸売価格(省令価格)の推移
資料:農林水産省「食肉鶏卵速報」
注1:消費税を含む
  2:東京・大阪市場の省令規格加重平均値、直近月は速報値
(畜産需給部 三田 修司)

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