需給動向 国内

◆牛 肉◆

平成25年12月の国産枝肉卸売価格、引き続き高水準


 平成25年度の国産枝肉卸売価格は、供給量の減少などを背景に、堅調に推移している。東京市場の取引価格を見ると、今年度の全ての月において、前年実績および過去5年平均を上回っている。12月の卸売価格(速報値)も、去勢和牛A−4がキログラム当たり2,016円(前年同月比7.5%高)、交雑種去勢牛B−3が同1,362円(同10.1%高)、乳用種去勢牛B−2が同845円(同15.1%高)と、いずれも過去5年の実績を上回った(図1)。
図1 牛枝肉卸売価格(東京市場)の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」「食肉卸売市場調査(日別)」
注1:25年12月は速報値
  2:23年7月の乳去勢B−2については取引実績がない。
 12月の価格を日別に見ると、前半は堅調ながら後半は弱含む、例年通りのパターンで推移したが、その背景には今年度特有の事情もあったと推測される。月の前半は、景気回復の気運を受けた外食需要の増加を見込んだ手当てや、出荷頭数不足に伴うさらなる価格上昇の可能性を懸念し、年末年始の連休に備えた早期の手当てが行われたことや、食品の産地・原材料表示適正化への対応が行われたことから、極めて堅調な価格推移となったもようである。しかし、当初想定していたほどは需要が振るわなかったこと、および年末年始向けの手当てが既におおむね済んでいたことから、月の後半は価格が弱含んだとみられる。ただし、月の後半も過去5年の実績を上回る水準で推移したことから、上述の月別価格となった。

 なお、例年、牛枝肉卸売価格は、最需要期である12月に最高値をつけることが多いが、今年は10・11月にかなりの高水準となったことによる高値疲れがあったためか、多くの規格において、12月の同価格(速報値)は11月と比べて下落、もしくは横ばいとなった。特に、去勢和牛A−3は11月と比較して60円程度下落し、キログラム当たり1,796円、去勢和牛A−2は190円程度下落し、同1,522円と、比較的大きな下落幅となった。

 今後は、消費増税が牛肉の需要に与える影響が不透明であるが、「牛個体識別情報」(独立行政法人家畜改良センター)における出生頭数データを見る限り、当分の間は、減少傾向が続いている和牛や乳用種の出荷頭数が大きく増加する可能性は低いことから、不足感は続くとみられ、それが価格の下支えとなることが予想される。

平成26年度の畜産物価格が決定

 平成25年12月19日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、平成26年度畜産物価格等が決定した。同部会では、配合飼料価格が上昇するものの、もと畜費は低下するとの見通しから、26年度の生産費は低下すると推定されたが、同年4月に消費税率が5パーセントから8パーセントへ引き上げられることを踏まえ、同年度の牛肉の安定上位価格はキログラム当たり1,105円(25年度から35円上昇)、安定基準価格は同850円(25年度から25円上昇)となった。

                                      (畜産需給部 田中 あや)



元のページに戻る