需給動向 海外

◆米 国◆

フィードロット飼養頭数は低水準で推移


飼養頭数の増加は2017年以降の見通し

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が12月20日に公表した「Cattle on Feed」によると、フィードロット(注)の飼養頭数(2013年12月1日現在)は、前年同月比5.5パーセント減の1072万5000頭となった(図1)。主要肉牛生産州の飼養頭数を見ると、アリゾナ州(同3.0%増)、カリフォルニア州(同3.1%増)で前年水準を上回ったものの、全米飼養頭数の約2割を占めるテキサス州(同7.0%減)や、ネブラスカ州(同4.0%減)、カンザス州(同6.4%減)で減少率が目立つ結果となった。減少の要因としては、肥育もと牛頭数の減少が挙げられる。また、干ばつにより、飼養頭数が減少しているメキシコからの生体輸入量の減少も要因とみられている。

注:収容能力1,000頭以上規模が対象

図1 フィードロット飼養頭数の推移
資料:USDA
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が12月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2012年に繁殖雌牛の多くがと畜に向けられたことで子牛生産頭数が減少していることから、2014年の牛肉生産量は、前年比5.7パーセント減の1097万9000トンと見込んでいる(表1)。同局は今後、草地の状態が良好であれば、繁殖向け雌牛が増加し牛群が拡大することが期待されることから、2017年または2017年以降に牛肉生産量は増加すると予測している。
表1 牛肉の生産量、輸入量および輸出量予測
資料:USDA/ERS
  注:数量は枝肉重量ベースのもの。

10月の牛肉輸出入量は前年の水準を上回る

 2013年10月の米国の牛肉輸入量(枝肉重量ベース)は、前年比30.0パーセント増の83万1000トンと大幅に増加した。これは主に、豪州、ニュージーランド、カナダおよびブラジルからの輸入量が増加したことによる。輸入量を国別に見ると、特にカナダは同87.4パーセント増と大幅に増加した。カナダでは2013年8月以降、と畜頭数が増加しており、牛肉供給量の増加分を輸出に向けているものとみられている。豪州およびニュージーランドからの輸入量増加の要因としては、干ばつによると畜頭数の増加が挙げられる。USDA/ERSでは、2014年の牛肉輸入量について、牛肉生産量が減少することからわずかに増加と見込んでいる。

 また、2013年10月の米国の牛肉輸出量は、主にアジアなどの海外需要の増加を背景に、前年比5.4パーセント増の10万6500トンと2013年5月以降、前年の水準を上回って推移している。輸出量を国別に見ると、日本、香港、韓国、メキシコ向けが前年に比べ増加している一方、中国、カナダ向けなどが減少している。なお、USDA/ERSは、牛肉供給量の減少により、2014年の牛肉輸出量を同7.7パーセント減の104万8000トンと見込んでいる。

                                      (調査情報部 山神 尭基)


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