平成25年12月25日付で、タイからの生鮮家きん肉等の輸入停止措置が、10年ぶりに解除された。これにより、今年の鶏肉輸入動向に変化が見られる可能性が出てきた。過去の輸入動向を振り返ってみると、生鮮鶏肉については、10〜14年度においてはタイ産および中国産で輸入量の約6割を占め、ブラジル産や米国産がそれに続いていた。しかし、16年1月に、タイおよび中国の両国内において高病原性鳥インフルエンザが発生したことにより、日本は生鮮家きん肉等について輸入停止の措置を取った。それまで輸入量の大半を占めていた両国からの輸入が停止されたことで、ブラジル産が輸入量を伸ばし、約9割のシェアを占めるようになり、現在までこの状況が継続している(図4)。
図4 鶏肉・鶏肉調製品輸入量の推移
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資料:財務省「貿易統計」
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一方、鶏肉調製品については、タイおよび中国で鳥インフルエンザが発生した平成15年度は、生鮮鶏肉とともに輸入が一時停止された影響で減少したものの、その後、両国からの輸入は生鮮鶏肉から鶏肉調製品にシフトし、増加傾向で推移してきた。特にコンビニエンスストアや外食産業からの需要が定着しており、24年度には、6年ぶりに鶏肉調製品輸入量が生鮮鶏肉輸入量を上回り、25年度の輸入実績(4〜11月)においても、この傾向が継続している。
今年の鶏肉輸入動向に注目集まる
平成25年度の鶏肉輸入量は、ブラジル国内の堅調な需要などによる現地相場高や為替の円安傾向から、前年同期比7.3パーセント減と、前年を下回って推移している。タイ産の輸入停止措置が解除されたことにより、鶏肉輸入事業者にとっては輸入先の選択肢が広がるため、価格交渉力が高まることで、ブラジル産鶏肉輸入量やタイ産鶏肉調製品輸入量に変化が生じる可能性もある。輸入動向については、取引価格や品質、実需者を含めた日本国内からの需要などの様々な要素が絡み合うため、今年の鶏肉輸入動向に注目が集まっている。
(畜産需給部 山口 真功)
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