12月の需要期を迎え、異例の高値継続
豚枝肉卸売価格(省令価格)は異例の高値が続いている。同価格は、例年であれば、豚肉生産量の増減に左右されると言われているが、今年度においては、生産量が増加傾向であるにも関わらず、6月を除き例年を大きく上回って推移している。通常であれば、最も価格が低い水準となり、豚肉安定基準価格(405円)を割り込む場面も見られる10・11月においても、それぞれ480円前後の高値となった。
12月の需要期に入るとさらに上昇幅は拡大し、前年を120円程度上回る545円と、異例の高水準となった。なお、相場下落が懸念される1月初旬においても、1月8日までの速報値で499円と堅調な推移が続いている(図2)。
図2 豚枝肉卸売価格、豚肉生産量の推移
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資料:農林水産省「食肉流通統計」、「食肉鶏卵速報」
注:豚枝肉卸売価格は、東京・大阪市場の省令規格加重平均値。平成26年1月は8日までの
速報値。 |
この異例の高値は、既報のとおり(「畜産の情報」2014年1月号)、豚肉輸入量の減少が主因と考えられる。輸入量の内訳を見ると、一昨年秋以降、冷凍品が大幅に減少しており(一方、冷蔵品は増加)、その代替として国産豚肉の需要が高まっている。これに加え、好調な家計消費、外食産業の旺盛な需要などが豚肉相場の上昇を後押しているものと思われる。
在庫量は減少傾向が継続、約10年振りの低水準
平成25年11月の豚肉推定期末在庫は、輸入品が13万1976トン(前年同月比15.5%減)、国産品が2万1012トン(同1.1%増)、合計では15万2988トン(同14.5%減)となった。15万トン台前半の在庫量は約10年ぶりの低水準である(図3)。
図3 豚肉在庫量の推移
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資料:農畜産業振興機構調べ
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豚肉在庫は、全体の約85パーセントが輸入品、さらに、全体の約95パーセントが冷凍品という構成となっており、冷凍品の輸入動向と密接に関係する。
25年度においては、生産量は微増で推移しているものの、輸入申告に係る通関審査・検査の充実化、現地相場高、為替の円安傾向などにより24年秋以降、豚肉冷凍品輸入量は減少傾向で推移していること、また、出回り量は前年並みで推移していることなどから、約1年にわたって在庫の取り崩しが続いている。
平成26年度の豚肉安定基準価格、20円引き上げの425円に
平成25年12月19日に開催された「食料・農業・農村政策審議会畜産部会」において、畜産物価格等の算定について諮問・答申が行われ、平成26年度畜産物価格等が決定した。豚肉の安定価格帯については、安定基準価格が現行405円から425円に、安定上位価格は現行550円から570円へと、それぞれ20円ずつ引き上げられた。
これは、飼料費を中心とした生産費が、過去5年間の平均に対し5.4パーセント上昇したこと、消費税率が平成26年4月に現行の5パーセントから8パーセントに上昇することが加味されたことによるものである。
(畜産需給部 藤原 琢也)
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