50ポンド以下の肥育豚で大きく減少
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が12月27日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、2013年12月1日現在の豚総飼養頭数は、前年同月比0.7パーセント減の6594万頭となった(表4)。内訳を見ると、すべてのカテゴリーで前年同期の水準を下回った。飼料価格の下落により、増産が期待される中、2013年4月に発生した豚流行性下痢(PED)は9月以降も発生件数が増加しているため、50ポンド以下の子豚のみならず、繁殖豚の飼養頭数の減少を招いている。
表4 豚飼養頭数の内訳 |
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資料:USDA/NASS |
繁殖豚の飼養頭数は1.1パーセント減少
繁殖豚の飼養頭数を見ると、飼料価格の下落を背景とした生産者の増産意欲の高まりにより、繁殖豚の保留が進み、1パーセント程度の増加が見込まれていたが、PEDが繁殖豚にも発生が確認され、前年同期比1.1パーセント減の575万7000頭となった(図4)。
繁殖豚の飼養頭数を州別に見ると、飼養頭数が最も多いアイオワ州では、前年同期比5.8パーセント減の97万頭となった。同州でのPED発生頭数が10月以降も増加していることから、今後も飼養頭数の減少が懸念される。また、次いで飼養頭数が多いノースカロライナ州は、同1.2パーセント増と減少は見られないが、同州でもPEDの発生が確認されており、今後の影響が懸念される。
図4 繁殖豚頭数の推移 |
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資料:USDA
注:各月の1日現在の頭数 |
分娩母豚頭数増加の見込みも、疾病の影響が懸念
繁殖豚が減少した中、2013年12月以降の分娩母豚頭数見込みは、2013年12月〜2014年2月期が、前年同期比1.3パーセント増、2014年3〜5月期が、同1.4パーセント増となっている(表5)。これは、2013年の飼料穀物増産を受けて、飼料価格の下落により2013年9月以降、生産者の生産拡大意欲が顕著になり、種付が積極的に行われていることがある。
表5 分娩母豚頭数の推移
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資料:USDA |
また、増産に向けた取組を受けて、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が12月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」において、2014年の豚肉生産量は、前年比3.0パーセント増の1084万3000トンと見込まれている。
このように、今後の豚肉生産は増加が見込まれているが、冬期におけるPEDの発生件数の増加次第では、豚肉生産に著しい影響を及ぼすことになる。
(調査情報部 山ア 良人)
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