アルゼンチン農牧漁業省(MINAGRI)によると、2013年1〜9月のと畜頭数は前年同期比11.2パーセント増の935万頭、牛肉生産量は同9.7パーセント増の210万3000トンとなった(図12)。と畜頭数は2012年10月以降連続して増加しているものの、1頭当たりと畜重量は同1.3パーセント減の225キログラム(枝肉重量ベース)と前年同期を下回っており、生産量の増加にブレーキをかけている。また、9月のと畜に占める雌牛の割合は43パーセントと前年同月に比べ1.5ポイント増加した。
なお、米国農務省(USDA)によると、2013年のアルゼンチンの牛肉生産量を280万トン(枝肉重量ベース、前年比7%増)としている。これは2010年から開始された牛群再構築の結果として牛の供給頭数が増加し、と畜頭数が大幅に増加するとの見通しによるものである。
図12 牛と畜頭数の推移 |
|
資料:アルゼンチン農牧漁業省(MINAGRI)
|
輸出量は前年同期を大幅に上回る
一方、同期の輸出量は前年同期比15.4パーセント増の10万2913トン(製品重量ベース)となった。これは現地通貨であるペソの切り下げにより国際競争力が回復していることが要因とみられている。このうち、冷凍・生鮮肉は同21.7パーセント増の8万1500トンとなり、同期の輸出量全体に占める割合は79.2パーセントとなった。主要な輸出先は、チリ(輸出量シェア28.0%)、イスラエル(同20.7%)、ロシア(同17.1%)であるが、中でも中国および香港向けの増加が注目される。中国は前年同期の輸出量33トンから6,226トンに、また香港は同787トンから1,606トンと大幅に輸出を伸ばしている。
EU向けのヒルトン枠(EU向け骨なし高級生鮮牛肉の低関税割当枠)は同11.7パーセント増の1万7571トンとなった。主な輸出先はドイツ(輸出量シェア57.0%)、オランダ(同26.1%)、イタリア(同13.2%)の3カ国である。
牛肉供給量のうち国内消費の占める割合は依然高水準
牛肉供給量全体における国内消費の割合は92.7パーセントに対し、輸出量は7.3パーセントであった。消費の拡大は1人当たりの消費量に反映されており、2013年1〜9月の1人当たり牛肉消費量は前年同期比9.7パーセント増の63.5キログラムとなった。
(調査情報部 横打 友恵)
|