需給動向 国内

◆牛 肉◆

平成25年10月の輸入品仲間相場、引き続き高水準


 平成25年10月の輸入量は、冷蔵品が1万7287トン(前年同月比3.7%減)、冷凍品が2万7971トン(同3.8%減)となり、合計で4万5321トン(同3.7%減)と前年同月をやや下回った(図1)。国別に見ると、月齢制限緩和措置の実施により、4月以降、前年を上回って推移している米国産は、1万7050トン(同41.3%増)と大幅に増加した一方、最も大きなシェアを占める豪州産は、2万3920トン(同15.9%減)と、3カ月連続で前年を下回った。今年度第1四半期における冷凍品のセーフガード発動回避に向けて、業界内で通関審査時期を6月から7月以降に繰り延べる動きがみられたことで、7月の冷凍品輸入量は前月比145.4パーセント増と、極めて大きな増加となった。第2四半期についても、同様の対応が行われると予想され、10月の冷凍品輸入量の大幅な増加が見込まれていた。しかしながら、通関審査時期の繰り延べは行われたものの、今年度前半に荷余り感が強かったことを踏まえて、8月頃から輸入量を抑制する傾向が出てきたことから、同輸入量は前月比41.6パーセント増と、7月と比較すると大きな増加には至らなかった。
図1 牛肉輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」
注 1:部分肉ベース
  2:計には、煮沸肉、ほほ肉および頭肉を含む

輸入品仲間相場は高水準で推移

 輸入品の仲間相場に目を向けると、現地相場高や為替の円安傾向により、昨秋から高止まりもしくは上昇傾向で推移している。また、今夏以降は、前述の輸入量抑制による在庫調整の動きや、供給不足および相場高が続く国産品からの代替需要により、品目によっては逼迫感すら生じる状況に転じたことや、上昇する輸入コストの価格転嫁が徐々に進んできたことも、価格を押し上げている要因と考えられている。これらを背景に、10月の仲間相場は、比較的在庫水準が高いと言われているショートプレートなど一部の品目を除いて、軒並み高水準であった(図2、3)。特に、テーブルミートとしても業務用としても汎用性が高い、冷蔵品の豪州産チャックロールや米国産チャックアイロール(ともに「かたロース」に相当)の引き合いが強く、10月の仲間相場はそれぞれキログラム当たり800円(前年同月比25.5%高)、同984円(同23.2%高)と、過去数年間で最も高い価格水準となっている。
図2 豪州産仲間相場の推移
資料:農畜産業振興機構調べ
図3 米国産仲間相場の推移
資料:農畜産業振興機構調べ

年末に向けて引き続き上昇傾向、年明けも堅調に推移か

 11月以降は、例年通り、最需要期に向けて一層引き合いが強まっているもようで、輸入品仲間相場の上昇傾向が継続している。また、賞与増額の報道などに後押しされた景気回復の気運や、食品の産地・原材料表示適正化に伴う加工肉から輸入品ロイン系への切り替えの動きを背景に、今年の年末は例年と比較して需要が強いとの声もある。このため、年内はこのまま高水準での推移が見込まれている。

 年明けの仲間相場は、需要の低下により弱含むことも予想されるが、輸入牛肉の現地相場高、為替の円安傾向、国産品の不足およびそれに伴う枝肉相場高という状況に大きな変化が生じなければ、大幅な下落とはならないものと見込まれる。

                                      (畜産需給部 田中 あや)



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