2012/13年度の牛肉輸出量は米国向け、中国向けがけん引
ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)は11月28日、2012/13年度(10月〜翌9月)の牛肉輸出量および2013/14年度の輸出見通しを公表した。
これによると、2012/13年度の牛肉輸出量(船積重量ベース)は、36万7000トン(前年度比5.2%増)となった(図7)。輸出増の要因として、干ばつによる肉用牛の早期とう汰や、乳用経産牛のと畜頭数の増加が挙げられる。干ばつは、2013年前半に肉用牛飼養頭数の7割を占める北島で発生し、経産牛のほか、去勢牛や子牛などのと畜頭数が増加した。特に、乳用経産牛については、前年度の天候が良好であったことから、酪農部門の頭数拡大のために、更新時期を遅らせたことにより、2012/13年度にこれらが多く出荷された。
図7 牛肉輸出量の推移 |
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資料:BLNZ
注 1:船積重量ベース
注 2:2012/13年度は暫定値 |
また、輸出向けと畜頭数は229万頭(前年度比9.8%増)であり、その内訳は、経産牛が92万1000頭(同26.7%増)、去勢牛が56万2000頭(同2.7%増)、雄牛が42万5000頭(同3.2%減)、未経産牛が38万2000頭(同2.4%増)と、雄牛以外は増加となった(図8)。
図8 輸出向けと畜頭数の推移 |
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資料:BLNZ
注:2012/13年度は暫定値 |
NZ統計局(Statistics NZ)によると、2012/13年度の国別輸出量は、最大の輸出先である米国向けが17万4000トン(前年度比10.7%増)となった(図9)。経産牛のと畜頭数増に伴い、加工用牛肉の大半が米国向けに仕向けられた。次いで、中国向けが3万6000トン(同5.7倍)となった。中国では、食肉需要の高まりや国内の肉用牛飼養頭数の減少などを受けて、2012年後半より牛肉輸入量が急増しており、NZ産への引き合いも強まっている。
一方、他の主要輸出国については、日本向けは2万9600トン(同7.2%減)、韓国向けは2万4000トン(同11.1%減)など、おおむね減少した。
図9 国別牛肉輸出量の推移 |
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資料: Statistics NZ
注 1:船積重量ベース
注 2:HSコードは0201、0202
注 3:2012/13年度は暫定値 |
2012/13年度の輸出額(FOB価格)は、輸出単価の下落(トン当たり5,800NZドル、前年度比2.4%安、49万3000円:1NZドル=85円)により、21億1900万NZドル(同3.6%増、1801億円)と、輸出量に比べ、小幅な増加にとどまった(図10)。BLNZは、決済通貨である米ドルに対してNZドルが前年度から1.5パーセント上昇したことにより、輸出単価の下落につながったとしている(図11)。
図10 国別牛肉輸出量の推移 |
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資料:BLNZ
注:2012/13年度は暫定値 |
図11 NZ産牛肉の米国向け輸出価格および米国での輸入価格、
対米ドルNZ為替相場の推移 |
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資料:Statistics NZ、USDA、NZ準備銀行
注 1:NZ輸出価格はHSコード0201、0202
注 2:米国輸入価格は、NZ産冷蔵牛肉 |
2013/14年度は牛肉輸出量が減少する一方、輸出額は増加見込み
2013/14年度の牛肉輸出量(船積重量ベース)は、35万9000トン(前年度比1.4%減)と減少見込みとなった。これは、前年度のと畜増の反動を受けたものである。輸出向けと畜頭数は、223万7000頭(同2.3%減)、このうち経産牛は84万7000頭(同8.1%減)と、かなりの程度減少し、去勢牛についても、前年度の干ばつによる出荷増により出荷適齢の牛が減少していることから、54万1000頭(同3.8%減)と減少が見込まれている。
一方、輸出額は、輸出単価の上昇(トン当たり6,055NZドル、同4.8%高、51万5000円)により、21億7500万NZドル(同2.6%増、1849億円)と、わずかながらに増加することが見込まれる。輸出単価の上昇は、米国で、牛群再構築による雌牛の保留から、経産牛のと畜頭数が減少するとみられており、米国国内での加工向け牛肉需要の増加が予想されていることによる。また、BLNZは、中国や東南アジアなど新たな市場からの堅調な牛肉需要も、加工向けを中心とした低級牛肉価格の上昇につながるとみている。
(調査情報部 伊藤 久美)
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