2013年の輸入量は前年比1.7パーセント増の見込み
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)が11月15日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」によると、2013年の牛肉の輸入量は、前年比1.7パーセント増の102万4000トンと見込まれる(表1)。米国では、2012年の干ばつにより飼料価格が高騰し、肉牛生産者の収益性が悪化したため、繁殖雌牛のと畜が進んだ。これにより、牛群が縮小し、肥育もと牛の供給量が減少しているため、2013年以降、牛肉生産量は減少する見込みとなっている。なお、牛群の回復は2015年以降とみられており、国内減産分を補完するため、加工向けを中心に、輸入量の増加が見込まれている。
表1 牛肉の輸入量・輸出量予測 |
|
資料:USDA/ERS
注:2013、2014年は見込み |
1〜9月期の輸入、NZで伸びるも、豪・加で減少
2013年1〜9月期の牛肉輸入量を相手国別に見ると、ニュージーランドからの輸入が最も多く、前年同期比6.4パーセント増の20万6000トンとなった(図1)。同国では、2013年2〜3月にかけて、記録的な干ばつが発生し、と畜頭数が増加したことから、牛肉輸出量が増加した。
図1 牛肉輸入量の推移(1〜9月期)
|
|
資料:USDA |
次いで輸入量が多かった豪州は、同9.0パーセント減の20万5000トンとなった。同国の主な輸出先国は、日本のほか、中国、韓国、東南アジアおよびロシアなどとなっており、価格面で競争力のある豪州産牛肉に対して、アジアからの引き合いが強まり、米国向け輸出量が減少となった。
カナダは、2011年まで、最も多い輸入相手先であったが、2012年以降減少している。2013年1〜9月期では、前年同期比12.2パーセント減の18万トンとなった。輸入量が減少した要因は、同国での繁殖雌牛の飼養頭数の減少傾向が続く中でのと畜頭数の減少が挙げられる。
生産量の減少で、輸出量は減少見込み
一方、2013年の牛肉輸出量は、前年比0.2パーセント増の111万5000トンとわずかに増加するものの、2014年は、牛肉生産量の減少が見込まれることから、同6.4パーセント減の104万3000トンと減産見込みとなった。
2013年1〜9月期の牛肉輸入量を相手国別に見ると、2013年2月から米国産牛肉の輸入月齢が30カ月齢未満に引き上げられた影響で日本が最も多く、前年同期比47.4パーセント増の23万8000トンと大幅に増加している(図2)。また、香港は、2013年第3四半期の輸入が大きく伸び、同69.3パーセント増の10万5000トンとなっている。なお、香港は2013年2月から、米国産牛肉の輸入月齢が、骨付きでは30カ月齢未満に、骨なしではすべての月齢に引き上げられている。
図2 牛肉輸出量の推移(1〜9月期) |
|
資料:USDA |
(調査情報部 山ア 良人)
|