平成25年11月の国産もも肉価格は、キログラム当たり646円(前年同月比12.7%高)と、4カ月連続で前年同月を上回り、国産むね肉価格は、同270円(同18.8%高)と、12カ月連続で前年同月を上回った(図5)。相場が高水準で推移している要因として、もも肉については、現地相場高や為替の円安傾向による輸入量の減少や、今夏の猛暑による生産への影響に加え、食品の産地・原材料表示適正化に伴う国産品需要の高まりが挙げられる。一方、むね肉については、既報のとおり、主に加工品に仕向けられる輸入冷凍豚肉の不足に伴う代替需要により、依然として引き合いが強いことや、健康志向の高まりからテーブルミートとしても消費されていることが挙げられる。
図5 鶏肉卸売価格の推移(月別)
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資料:農林水産省「食鳥市況情報」
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こうした背景による相場回復から、国産鶏肉卸売価格(もも肉1キログラム価格、むね肉1キログラム価格の単純合計:東京)も、2キログラム当たり916円(同14.5%高)と、2年5カ月ぶりに900円台に乗せた。生産者の経営状況は、鶏肉生産費の6〜7割を占める配合飼料価格の高止まりにより、依然として厳しい環境にあると思われるが、高水準な相場により改善に向かうことが期待される。
高水準な相場は、生産者の増産意欲を高める可能性も
平成25年10月の国内生産量は、12万7478トン(前年同月比0.4%減)とわずかに減少した(機構調べ)。鶏肉輸入量は、3万5880トン(同2.2%増)と、前年同月をわずかに上回ったものの、引き続き需要に見合った輸入が行われているとみられている(財務省「貿易統計」)。鶏肉調製品輸入量は、4万41トン(同7.1%減)と、需要期に向けた手当てのため、今年に入って初めて4万トン台に乗せたが、こちらも現地相場高などにより、前年同月をかなりの程度下回っている。また、推定期末在庫量は、12万96トン(同19.7%減)と、依然として減少傾向が続いている。
このような需給状況の中では、国産鶏肉卸売価格は例年ピークとなる1月まで高水準で推移するとみられるものの、この高水準な相場により生産者の増産意欲が高まれば、再び供給過剰となる可能性もある。
(畜産需給部 山口 真功)
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