需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

10月の牛乳の価格指数、飲用向け乳価の引き上げに伴い上昇


 平成25年10月分の牛乳の価格指数(22年平均を100とした場合)は、店頭売りおよび配達用牛乳の加重平均で100.2となり、前月の97.8と比べ、指数比率で2.5パーセントの上昇となった(総務省統計局「消費者物価指数」)。

9月までは長期的な値下がり傾向

 牛乳の価格指数は、飲用向け乳価がキログラム当たり10円引き上げられた21年3月に、前月の97.7から101.9と指数比率で4.3パーセント上昇した後、同年夏頃から低下傾向となった。配達用牛乳の価格指数は大きく変動することなくわずかに上昇を続けたが、販売シェアの約95パーセントを占める店頭売りの牛乳は、デフレ経済下での他の飲料との販売競争により、25年9月までの間に3ポイント近く低下した(図6)。

 なお、23年の4月に一時的に100を超えた要因としては、東日本大震災により一部の地域で牛乳のサプライチェーンに影響が出たことから、安定供給を優先するため特売が控えられたことが考えられる。
図6 牛乳の価格指数の推移
資料:総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」
  注:平成22年平均を100とした場合の価格指数

価格上昇の背景には酪農家の生産コスト増

 今回の牛乳小売価格の上昇は、10月から指定生乳生産者団体と乳業者間で取引される飲用向け乳価が、キログラム当たり5円引き上げられたことに伴うものである。その背景として、為替相場が円安傾向で推移していることや、配合飼料価格の高騰などにより、酪農家の生乳生産コストが上昇していることが挙げられる。

10月の牛乳生産量は前年同月比で微減

 農林水産省が発表した牛乳乳製品統計によると、平成25年10月の牛乳生産量は27万2284トンで、前年同月比99.0パーセントとなっている。直近1年間では、うるう年の影響があった2月を除き、98〜100パーセントの間で推移しており、10月に牛乳価格が引き上げられたことが直ちに牛乳消費にマイナスの影響を与えたとはいえない結果となった(図7)。

 このように、10月に目立った消費の減退がみられなかった背景としては、10月上旬の気温が例年と比較して高かったため、飲料市場全般が好調だったことや、生産者団体をはじめ酪農乳業関係者が一丸となって取り組んだ、小売価格の上昇に対する消費者の理解醸成活動に一定の成果があったためと考えられる。しかし、牛乳消費量の長期的な減少は、関係者間の大きな課題であり、11月以降の小売価格と消費量の動向や、26年4月の消費税率の引き上げに伴う消費への影響が注目されている。
図7 牛乳生産量の推移
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
                                      (畜産需給部 岡 久季)


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