需給動向 海外

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生乳生産、増加傾向に転じる


8〜9月の生乳生産、かなりの程度増加

 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2013年8〜9月の生乳生産量は、394万6000トン(前年同期比8.0%増)となった(図29)。2月以降、干ばつの直接的な影響と、干ばつに伴う早めの乾乳期への移行などから、生乳生産は7月まで6カ月連続で前年同月を下回っていたが、7カ月ぶりに前年を上回った。6月頃から気象条件の改善により、牧草の生育状況が改善し、特に8月は、主要生産地域である北島ワイカト地域における牧草の生育が良好であったため、生乳生産が本格化する時期に合わせ、増加に転じた格好となっている。

 一方、好調な生乳生産は、余乳処理の問題を引き起こしている。現地報道によると、北島ワイカト地方に隣接するタラナキ地方では、生乳生産の増加により工場の処理が追いつかなくなり、一部バターミルクが廃棄されているとしている。

 ニュージーランド(NZ)国内集乳量の約9割を占める最大手の乳業会社であるフォンテラ社によると、同社の10月の生乳集乳量は、前年を4.7パーセント上回ったとしており、今後も増加基調は継続するとみられている。

図29 生乳生産量の推移
資料:DCANZ
  注:年度は6月〜翌5月

粉乳輸出増加の一方、チーズ輸出は減少

 2013年9〜10月の主な乳製品の輸出量は、脱脂粉乳が6万2375トン(前年同期比9.8%増)、全粉乳は21万9426トン(同35.7%増)、バターは6万5325トン(同9.9%減)、チーズは3万5889トン(同13.9%減)となった(図30)。脱脂粉乳、全粉乳は、生乳生産が回復したため、最大の輸出先である中国向けを中心に前年を上回っている。NZとFTAを結んでいる中国は、NZにとって最大の輸出先であり、9〜10月の輸出量に占める中国向けのシェアは、脱脂粉乳が約4割、全粉乳は約6割と、いずれも最大のシェアを占めている。

 粉乳の輸出が増加した一方、日本向けが最大のシェアを占めるチーズの輸出量は、6カ月連続で前年同月を下回った。これは、生産回復した生乳を全粉乳に優先的に仕向けているためとみられる。ただし、日本向けチーズ輸出量は、5カ月ぶりに前年同月を上回っており、隣国豪州の生乳生産の減少、堅調な日本のチーズ需要を踏まえると、NZにとっては、日本への輸出拡大が見込める環境となりつつある。
図30 9〜10月の乳製品輸出量の推移
資料:Statistics NZ
  注:暫定値

国際相場、高止まりの状態が続く

 12月3日に開催された、国際相場の指標の一つとされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)によると、脱脂粉乳の平均価格は、トン当たり4,791米ドル(49万3473円:1米ドル=103円、前年同期比42.5%高、前回比4.5%高)、全粉乳は同5,035米ドル(51万8605円、前年同期比58.8%高、前回比3.4%高)となった(図31)。2013年前半の上昇以降、おおむね4,000米ドル〜5,500米ドル(41万2000円〜56万6500円)で推移しており、価格水準そのものが上昇している。粉乳については、中国や東南アジアに加え、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の中東2カ国からの需要も強く、当面は現在の水準で高止まりするとみられている。
図31 GDTにおける脱脂粉乳および全粉乳相場の推移
資料:GDT
                                       (調査情報部 根本 悠)

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