謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
当機構の業務につきまして、旧年中は皆様方のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年一年間を振り返りますと、まず、飼料については、原料となる米国産トウモロコシが一昨年の干ばつによる大幅減産・価格高騰から一転して、過去最高水準の豊作になると見込まれているものの、円安の進展などから畜産農家の購入価格は高水準で推移しています。このため、農林水産省は昨年6月、畜産経営の維持・安定と国産畜産物の安定供給を図るため、配合飼料価格高騰緊急対策を公表しました。当機構では、これに基づき、特例的な措置として、畜産経営体への配合飼料購入費の一部助成等を行うほか、国の事業と一体となった飼料穀物の備蓄の強化や、飼料自給率の向上のためのリース事業を実施しています。
また、こうした生産コストの上昇を受け、10月には、平成20年以来5年ぶりに飲用向け生乳取引価格が引き上げられました。当機構では、国産牛乳・乳製品の値上げに対する消費者・流通業者等への理解醸成を図り、消費への影響を緩和するための事業に取り組んでいます。
一方、実体経済を反映し、食肉消費が回復傾向を見せる中で、国産と輸入を合わせた供給量は減少傾向となっており、牛肉、豚肉、鶏肉の卸売価格は総じて堅調に推移しております。
昨年5月に開催された国際獣疫事務局(OIE)総会において、わが国は、国際的なBSE安全性格付けの最上位である「無視できるBSEリスク」の国に認定されました。平成13年9月、わが国でBSEが初めて確認されて以来、長期間にわたりBSE対策に取り組んでこられた関係者の不断の努力の成果であると考えており、今後、ますます、国産牛肉の信頼が、国内外において高まることが期待されます。
このように、当機構においては、生産者の経営安定対策、畜産物・野菜などの需給調整と価格安定対策に加え、飼料価格高騰等に対応した緊急対策を実施しました。また、昨年4月からは、これまでの乳製品、食肉(牛肉・豚肉)に加え、鶏肉についても需給予測を公表するとともに、国内外の需給動向等の情報の収集提供も行っているところです。
昨年10月、機構は、独立行政法人としての創立10周年を迎えました。飼料価格や原油価格の高騰、口蹄疫などの家畜伝染病や、今もなお復旧復興の途上にある東日本大震災・東京電力福島第一原発事故の発生など、激動の10年間でした。農畜産業・関連産業の健全な発展と国民消費生活の安定に寄与するという機構の使命を果たすべく、経営安定対策などに加え、緊急事態に対応して各種の対策を迅速に実施してきたところです。
昨年4月からは第3期の中期目標期間がスタートし、農林水産大臣から示された新たな中期目標のもとで、これまで以上に消費者・生産者の視点に立って、業務の質の向上や業務運営の効率化に取り組んでいるところです。
農畜産物の需給状況は今後とも予断を許しません。TPPをはじめとする対外交渉の動向からも目が離せない状況にあります。攻めの農業の展開ということで農政も大きく変わろうとしています。将来を見据えて環境の変化に柔軟に対応していく経営力が、これまで以上に必要とされる時代です。
当機構には、我々が生きていく上で、なくてはならない大切な「食」を支える農畜産業・関連産業の皆さんを応援し、消費者の皆様への安定的な供給を確保していく役割があります。本年も、状況の変化に即応して機動的に、この重要な使命を果たしていきたいと考えております。引き続き、皆様のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
本年が皆様にとって希望に満ちた明るい年でありますことをご祈念申し上げ、新年のごあいさつと致します。
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